国内では性別による処遇の差について議論が活発になされ、一般企業における女性役員登用の義務化や学校における制服の仕様など各種検討が既に進んでいます。

一方で、国外へ目を向けると、別の視点も議論がなされており、今回採り上げるアメリカの大学での入学選考では教科書にも載っている「アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)」の制度に焦点が当てられています。

この制度、1961年から導入されていて、アフリカ系やヒスパニック系に対する大学入試段階での是正措置のことを指しています。

「米大学入学選考での人種考慮、米最高裁が違憲判決-教育は新時代へ」(2023.06.30 Bloomberg)はこちら



今回、アメリカ連邦最高裁判所は、「大学が入学希望者の人種を選考要素に含めるのは憲法に反するとの判断」を下し、各種報道に取り上げられています。人種ではなく、個人の能力で選考しなさいよということなのですが、多民族国家であるアメリカ合衆国ならではの視点とも言えますし、政党間の争点となっていると捉えることもできます。

バイデン大統領は「反対」を表明していますし、そうなるとリベラルの民主党は反対の姿勢を取っていますし

「米最高裁、大学選考の少数派優遇に違憲判断 バイデン氏反発」(2023.06.30 産経新聞)はこちら

一方で、トランプ元大統領は「賛意」を表明していますから、保守派である共和党は「賛成」の姿勢であります。

「米大学の人種優遇は違憲、最高裁が判断 選考見直し必至 バイデン氏反対」(2023.06.30 ロイター通信)はこちら

なぜ、こういう判決に至るかというと、上記の記事にもありますように、最高裁判事の人事にも関連するようです。現状は保守派の判事が多いですので、どうしても保守派寄りの判決に傾いている印象を受けます。

確かに、性別や人種などの個人の能力に及ばない観点で選考は行われるべきではないですが、一方でその制度が出来た歴史的経緯もまたアメリカ合衆国の負うべき業とも言えるものでもあります。個人的にはこの違憲判決を受けて、まずは各大学が議論を尽くすべきでしょうし、当事者である学生にも加わってもらう必要があるかと。

国内の大学も他山の石ではないですが、その議論について学内にフィードバックしておくことは決して無駄ではないと思われます。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

(参考記事)


0件のコメント

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です