大学等連携推進法人

今回のテーマは、大学等連携推進法人についてです。大学の統合とは趣旨が異なりますが、国内の高等教育のリソースの全体最適を目指しているという観点からすると非常に近い仕組みと言えます。

制度の趣旨としましては、大まかに言いますと、人的・物的リソースの有効活用、一元管理のための一般社団法人を文部科学大臣が認定、従来までの授業科目の自前主義に対する特例措置の三点になります。

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具体的に設立されている大学等連携推進法人は以下の2法人です。

一般社団法人　アライアンスやまなし（2019年発足）

　国立大学法人山梨大学

　公立大学法人山梨県立大学

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一般社団法人　四国地域大学ネットワーク機構（2020年発足）

　国立大学法人徳島大学

　国立大学法人鳴門教育大学

　国立大学法人香川大学

　国立大学法人愛媛大学

　国立大学法人高知大学

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どちらも都市圏ではなく、地方に立地している大学でしかも国立大学法人が主体となっていますね。これが私立大学を巻き込んだ形になっていくと地域の特色と言いますか、強みが出てきそうです。地域に根差した学問（よくあるのが「○○学」ですね）も生まれてくるでしょうし、既にあるのであれば、広さと深みが出てくることが期待されます。曲がりなりにも博士号相当の人材を複数人抱えているということが地域にとってはとても貴重な存在ですから。

さて、大学設置基準では、大学は「教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成するもの」とされています。つまり、授業科目は自らの責任で開設することが原則ですよということです。

　それが、「他の大学が当該大学と連携して開設した授業科目（連携開設科目）を当該大学においても自ら開設したものとみなす特例措置」を設けることが可能となりました。

具体的な事例としては、「数理・データサイエンス・AI教育を実施すること」や「教養教育を充実させること」が挙がっています。つまり、大学の特色を発揮するよりもむしろ共通で開設することの方がメリットが大きいとされる授業科目については、連携して開設する道が開かれたという事です。

ただし、質保証の要件として下記の４項目が条件付けされています。

1.「大学等連携推進方針」を策定し、文部科学大臣へ届け出ること

2.大学間の教学管理体制の構築

3.修得できる単位数の上限を設定（30単位）

4.科目名・授業計画・成績評価基準の情報公表の義務付け

1と2は法人を設立するにあたって必要となる項目ですし、3も当然と言えば当然、4は既に実施している枠組み内のことですので、いずれもハードルは高くないです。

あとはマネジメントの問題ですかね。何せ、この連携法人に参加できるのは、国立大学、公立大学、私立大学と設置形態の垣根を超えていますし、もっと細かく言えば、「全学的な参画に限らず学部単位、学位プログラム単位での参画も可能」となっていますから、枠組みは既に揃っており、本当にあとは戦略とやる気だけではないでしょうか。

この仕組みを自大学の生き残りをかけた画期的な仕組みと捉えるのか、それとも他大学の動向を見るという待ちの姿勢で臨むのか。国内だけでなく国際間競争に既に突入していると捉えると自ずと結論は出ているような気もしますが。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。