今回のテーマは、単位数の上限についてです。

「大学遠隔授業の単位上限、特例で緩和へ」(2022.02.04日経新聞(会員限定))はこちら

「経団連、大学教育改革を提言 オンライン授業の単位上限の撤廃も」(2022.01.14朝日新聞(会員限定))はこちら

「日本私立大学連盟、遠隔授業の単位上限廃止やデジタル対応支援など提言」(2021.08.23大学ジャーナルオンライン)はこちら

以前にも記事にしましたが、大学は単位制をとっており、4年制大学ですと、通常124単位を取得できたら、学位の授与が行われます。但し、学部学科によっては細かなルールはもちろんあります。卒業研究が必修であったり、この科目は必修とか、進級にあたってはこの要件はクリアしていないと進級出来ないとか。進級ハードルを設けている学年も大学によって異なります。

ではその124単位はどこで定められているかと言いますと、大学設置基準という規則に定められていまして、実はその中に遠隔授業における単位上限も60単位までと定められています。今回、中央教育審議会大学分科会にて検討されているのが、この大学設置基準における単位上限を一定の条件下で緩和する特例制度を設けましょうということです。にわかに、議論になった背景には2020年度、2021年度がコロナ禍の見舞われたこともあり特例でこの単位上限が緩和されたことがあります。遠隔授業(オンライン授業とも表現されていますが法令上は遠隔授業で統一されていますね)が加速度的に浸透した結果、様々な事例を検証できたことも緩和への後押しになったのでしょう。また、緩和の狙いとしては未入国の外国人留学生への配慮、そしてひいては優秀な外国人留学生の獲得への狙いもあるようです。但し、あくまで特例制度ですので、上限単位の原則は今まで通りのようですので、まだ全体としては様子見といったところでしょうね。

日本私立大学連盟や経団連も既に提言を出していますので、社会的要請もあることですし、固執する必要はないと思いますが、気になる点はいくつかあります。

ひとつは既存の通信制課程との整合性です。日本では既に通信制課程の実績が長くあり、きめ細かな指導体制ができており、遠隔授業をどのように適用させていくかという議論がなされていないような気がします。(既になされていたらすみません)

もうひとつは、海外の大学との競争ですね。国内大学がどれだけ意識しているかどうかは不明ですが、既に海外との競争に巻き込まれていますから、遠隔授業がオープンになると本当にコンテンツ勝負になってきます。学生もシビアですからコンテンツの質が低いとなると容易に選択肢から外されていきます。それに伴って、外国人留学生を本気で獲得しようと思うならば英語だけの授業の開発が必須でしょうね。ここは時間が掛かりそうですので、手っ取り早くするのであれば、例えば、字幕で翻訳するとかですかね。どちらにしろ、時間はかかりそう。

規制緩和は新たな道が開ける期待と同時に、競争が激化しますので戦略的な準備も必要となってきます。要はマネジメントの巧拙が今後も激しく問われる時代になってくるということなのでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございます。

今後もよろしくお願いいたします。

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