本日のテーマは、博士課程後期学生への支援について。

東京工業大学だから構築できる制度と言ってしまえばそれまでですが、博士課程の学生を本気で育てようとしているだからこそ産まれた制度だとも捉えることができます。

「NECと博士後期課程学生の研究活動を支援する制度「NEC R&D Doctor’s Pass」を設立キャリア面と経済面をサポートし、将来の企業研究人材の育成に貢献」(2023.01.11 東京工業大学)はこちら

この制度の特徴は以下の三つ。

  • 博士後期課程学生の就職活動時期の柔軟化
  • サポートプログラム(研究インターンシップ・メンタリング)
  • 奨学金支援(希望者のみ)

何人かは不明。NECの研究部門への内定も同時に取得が魅力的。

研究インターンシップというワードが聞きなれなかったのでリサーチすると、推進協議会が立ち上がっていました。

ジョブ型研究インターンシップ推進協議会

次にそもそも博士課程への経済的支援って現状どうなのだろうかと思い、リサーチすると下記の調査結果に当たりました。

「令和元年度「先導的大学改革推進委託事業」博士課程学生の経済的支援状況に係る調査研究報告書」(2020.03 文部科学省)はこちら

この調査の中で着目したのが、下記の項目です。

「平成 30 年度における「給与・謝金の受給」、「日本学生支援機構の奨学金」、「授業料等の

減免」以外の経済的支援(以下、その他の経済的支援)の有無については、「受けている」

が 21.2%、「受けていない」が 48.9%であり、受けていない者の方が割合が高い。」

受けていない人がほぼ半数というのが、切実な状況なのではないかと思われます。

さらに、「その他の経済的支援を受けた人」(課程学生:2,731名)の支援の種類としては、

・大学独自の奨学金制度 29.0%

日本学術振興会特別研究員 39.8%

博士課程教育リーディングプログラム 11.4%

・民間団体(企業等)等の奨学金制度 10.3%

という結果となっています。

また、課程学生(2,956名)の年間受給額を見てみると

・60万円未満 32.4%

・60~120万円未満 13.3%

・120~180万円未満 4.8%

・180~240万円未満 5.8%

・240万円以上 41.8%

という結果となっています。

どうでしょうか。専門の研究を志向している現状としては心許ないなぁというのが私の率直な感想です。だからこそ、東京工業大学とNECが構築した制度はより魅力的に見えます。

国としても、10兆円ファンドと合わせて、大学院生への支援は今後も拡充していくことでしょうから、社会人も含めてその層が厚くなることを期待したいところです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

(参考記事)


1件のコメント

30秒感想:奨学金制度が改正されます - 大学よもやま話 · 2023-05-23 11:44

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