令和2年9月2日から議論が始まった「地方創生に資する魅力ある地方大学の実現に向けた検討会議」ですが、令和3年8月に「魅力ある地方大学を実現するための支援の在り方について」が公開されています。曰く、令和4年度の概算要求を前に一定の方向性を示すためだそうです。
「魅力ある地方大学を実現するための支援の在り方について」(中央教育審議会大学分科会)はこちら
結論から言うと、「それぞれの地域にとってどのような大学が「魅力ある大学」なのかは、
まさに地域の関係者によって議論されるべきであろう」としながら、下記の項目ごとに具体的にまとめられています。
➀地域社会と連携した地域ならではの質の高い人材育成
②高度な連携推進体制の構築
③出口を重視した取組の推進
④地域ならではのイノベーション創出など研究・社会実装機能の強化
⑤制度的な特例による先導事例の創出と優れた事例の共有
➀では、地域のステークホルダーとの連携の事例として、長期インターンシップや地方公共団体や企業が実施する奨学金の返還支援などが挙げれています。私が勝手に調べた長期インターンシップの事例ですと、京都産業大学、甲南大学、就実大学、新潟大学などがありました。一覧で見たい方は、日本学生支援機構にまとめられています。
奨学金の返還支援の事例としては、これも日本学生支援機構のHPへまとめられていました。
都道府県はこちら
市区町村はこちら(例えば、佐世保市奨学金等返還サポート制度だと、返還額の最大3分の2相当額を10年間交付です。勿論、地域振興策と紐づいていますので、都会ではないですよ、勿論。でも、メディアでよく出てくる奨学金の返還で日々の生活を切り詰めている現状を鑑みると、各地方自治体や企業が設けている制度を使わない手はないと思いませんか。)
また、②については、以前の記事でも取り上げました大学等連携推進法人にも触れられています。加えて、当然ながら地域連携プラットフォームにも。
④については、「経済財政運営と改革の基本方針2021」(令和3年6月18日 閣議決定)も取り上げ、地域経済の発展や地域の課題解決へ向けた取り組みの期待が記載されています。昨年度からのコロナ禍でリモートワークが日常となりつつある現状において、大手企業を始め、都心のオフィスを引き払う動きが加速しています。と言いつつ、どこかでは確実に就労しているわけで、その選択肢としてランニングコストが安価な地方へ移住する人たちが増えるのは確実でしょうし、現にそうなりつつあります。これはもう引き返すことない黄な流れですので、これを好機と見て、各地域の魅力を本気で捉えて、そこの中心に高等教育機関である大学を据えることはあながち無理筋とも思えません。地方の国立大学の定員を増加させるのは「?」が拭えませんが。
今回は予算へ向けての方向性を示したまでですので、今後の議論にも注目していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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2件のコメント
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