雲外蒼天(うんがいそうてん)
様々な困難があってもその先には明るい未来がある。私はこの言葉をそう捉えています。上手くいくことの方が少ないのが人生。ままならないのが人生。そう言えば、私の父もやりたいことが10あったとして、1でもやり抜くことができたら成功だよと言ってくれたことがありました。幼い頃は、エラい確率が低いんだなぁ、人生ってと思ったものです。父親の年齢に近づくにつれ、段々とその意味が実感として分かってくるにつれ、なるほどなぁと思ったりします。ただ、だからといって悲観する必要は全くなく、選択した道の世界はまさに未知の世界。うまく行くのも、うまく行かす(活かす)のも自分次第です。あと、物事の捉え方ですね。固執するとロクでもないです。思い込みを捨て、物事をフラットに見る・視る・観る。
この物語の主人公・五味省平はタクシードライバー。そして、自称・スマイル・タクシー。乗せたお客さんを笑顔にする。そのための努力は惜しまない。そんなタクシードライバーに降りかかる予期せぬ出来事がひとりの子どもを乗せた瞬間から始まります。そして、それ以外にも個性的なタクシードライバーが登場し、ラストに向かって、縦横無尽に街を走り回ります。お一人は何時間も延々と走らされます。
ミステリーというよりもホームドラマを観ている印象を受けました。もちろん、没入感は満載です。この物語、様々な箇所に伏線が埋没していますので、没入しつつ、よーく読んでいってください。横関大氏の他の物語で読み直しましたことがありますが、今回は読み直すというよりも、「えっ? どういうこと?」と言った形で前に戻って確認してしまいました。それでも没入感が持続されるなんて、ホント、良い経験をしました。
ともかく、おススメです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
横関大(2015)『スマイルメイカー』.講談社.
(参考記事)
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30秒間読書感想文:横関大氏『誘拐屋のエチケット』 - 大学よもやま話 · 2022-12-26 22:42
[…] に 30秒間読書感想文:横関大氏『スマイルメイカー』 – 大学よもやま話 […]