絆
この言葉、2つの読み方と2つの意味があることをご存知でしたでしょうか。
読み方は「きずな」と「ほだし」の2つ。辞書には「きづな」とも記載されています。
意味は、「人と人との離れがたい繋がり」と「馬などを繋いでおく綱」の2つ。2つ目の意味から1つ目の意味へ派生したのでしょう。
どうでしょうか。読み方と意味を知ると印象が変わらないでしょうか。古い時代の使われ方は現在と異なり、良い意味では使用されていなかったようです。
「かつて「絆」はいい意味の語ではなかった」(2022.04.18 JapanKnowledge)はこちら
今回の物語では、現代の意味にも昔の意味にも捉えることが出来ます。三雲華は泥棒の一族の血から逃れることは出来ず、その娘である杏は警察と泥棒のそれぞれの血を引き継いでいる、まさに離れがたい繋がりと言えます。
そして、その繋がりが故の事件が同時に両家に降りかかります。桜庭和馬、華、杏それぞれに降りかかる災厄をどう振り払うのか。読み進めるうちにこれまでにない胸の詰まりを感じました。程度の差こそあれ人は様々な絆に縛られているもの。自分の人生を生きるにはその繋がりを意識することから始まるのかもしれません。全く断ち切ることは難しいにせよ、適度な距離感=間合いがあるはず。
そのように改めて思い至りました。
おそらくこれで物語は終わらないのではと。次の展開を期待しつつ、望むべくはハッピーエンドを。
今回もオススメです。
横関大(2020)「ルパンの絆」.講談社.
(参考記事)
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