本日の物語は、小野寺史宜氏の『ひと』です。
実は、この物語、以前にも読んだことがありまして。なんだかほっこりした気持ちになったのを先日読んだ『片見里荒川コネクション』を読んで思い出した次第で、無性に再読したくなりまして、再読した次第です。
『ひと』という題名をつけた理由も分かりました。いや、正確には思い出したという方が正解なんでしょうね。
一度読んでいるので、既視感はすごくあるのですが、結論から言うと再読して良かったです。なんでしょうね。著者の価値観というかこの物語の登場人物の持っている感覚が自分のそれと近いと共感していき、スピード感のあるミステリー小説とは全く異なる没入感がありました。
市井の人々にも当然ながらそれぞれの人生があり、営みがある訳です。そこには思いがけない物語があるわけで、主人公である柏木聖輔にも普通では考えられない、いや受け入れられないことが起こります。それでも何とか生きていかなくてはいけない訳で、置かれた状況で彼なりの選択をしていくこととなります。それが正解なのか不正解なのか知る由もありませんが、それでも前に進んでいくという選択を彼はするわけです。物語ですので、極端な事象にあい、極端な状況に追い込まれることとなってもやはり、起こり得ることなんですよね、誰しもが。それを実感として受け入れていくとこの物語への没入感は半端ないものになると思います。
登場人物もすごく丁寧に描かれていて、作者には申し訳ないですが、勝手にイメージ像が出来ちゃいました。俳優で当てはめてもしまいました。
本日、調べて初めてしったのですが、この物語は2018年度本屋大賞第2位に選ばれており、やはり書店員の方々の選球眼は間違いないと確信いたしました。
ということで、おススメです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
小野寺史宜(2018)『ひと』.祥伝社.
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