名作である。
間違いなく。

もしかしたら、大学入試の現代文に採用されているかもしれない。稚拙な例えだが、私にとってはそれくらい名作だった。

甲田貴子
西脇融

この主人公の二人劇。
もちろん、まわりの登場人物が魅力的だからこそ、二人劇が成立している。
登場人物それぞれでスピンオフの物語を見てみたいと思わせてくれる。それくらい魅力的ではある。

それでもやはり二人劇。

複雑なと言えば、複雑な。シンプルと言えば、シンプルな。
そんな関係性の二人。
最初の距離感は絶望的なくらい遠い。本当に遠い。

それが、勘違いも含め、周りのお節介(でもないが)により、徐々に相手を思いやり、それを応援したくなる。

自分だけではどうにもならないこと、
自分だからこそどうにでもできること。
いくつになっても、それは誰しもがあるもの。
年を経ると達観したフリをして、諦めていくことも多いが、改めて前向きな気分にさせてくれる物語。
すべての感情を動員して堪能していただきたい。

しつこいが、名作である。

もちろん、オススメ。


恩田陸(2004)『夜のピクニック』.新潮社.


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