登場人物が持つ顔をいくつも垣間見ることが出来る。
自分自身に置き換えみれば、様々な顔を持っているのが普通だと改めて気付かされるし、そう言えば物語の登場人物は1つの顔しか浮かばないことに気付かされる。
物語ではいくつも顔を描き出したら、キリがないし、収拾がつかなくなる。
でも、この物語に登場する人たちの様々な顔を見せてくれる。しかも、ごく自然に受け入れることができる。
読み進めて、この結論にはなかなか辿り着かないし、だからこそ、恩田陸氏の物語を読む価値があるのだろう。
幾人もの訪問者の中には唐突な感じもしないではないが、それも結論に辿り着くには欠かせない要素であると読み終われば納得がいく。
時にはこのような引っ掛かりをもって読むのも面白い。
恩田陸(2012)『訪問者』.祥伝社文庫.
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