人の褌で相撲を取るような仕事

自分の意に染まない仕事

例によって、短編集のこの物語。
深く突き刺さったのは2つ目の物語「やどやりの人生」。

他者から見るとどこか遠くを見ている第二編目の主人公・古屋陽太郎。

どこか曖昧模糊としたキャラクター設定も最後まで読み切ると思わず唸ってしまった。

唸るだけでなく、再読してしまった。

あの時、彼はどういう反応をしていたのか。

あの時、彼は何と返答していたのか。

思わず確かめざるを得なかった。

誰もが人と同じ人生を歩めるわけもなく、各人が各人の選択によって各人の人生を歩んでいる。

でも、本当に「選択」をしているのか?

古屋は確かにある「選択」をしている。
そして、その選択を正解とするために歩を前に進めている。

お前は、本当に「選択」しているのか?

そう突きつけられたからこそ、私は読み返したのだろう。

選択の時点で正解かどうか分かるわけもなく、ただ、正解に近づけるために歩を進めることは出来る。愚直に歩を進めるかどうか、正解への唯一の道のりはそこにしかないと気づかされた物語であった。

確実にオススメである。



垣根涼介(2012)『張り込み姫―君たちに明日はない3―』.新潮社文庫.


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