本日の物語は、海堂尊氏の『コロナ黙示録』です。ベストセラー作家ですので皆さんご存知かと思いますが、海堂氏は医師で、作家デビューされた方です。作品で言いますと、『チームバチスタの栄光』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞されています。私、海堂氏に一時、ハマっておりまして今までの作品はひと通り読了しております。おそらく

全作品を。少なくとも「桜宮サーガ」シリーズは読んでいるはずです、調べたことはありませんが。この物語もその「桜宮サーガ」シリーズを成している物語で、題名の通り、一連の新型コロナウイルス感染を題材としながら、実は別のテーマも題材とした物語となっています。

 現在も進行形の新型コロナウイルスの感染がどのように広がっていったのか、虚実をないまぜにしつつ、勿論、核心の部分は専門的見地から分かりやすく解説(?)がなされています。新型コロナウイルスがどのように広まっていったのか、そもそも新型コロナウイルスとは一体、何なのか、を時系列で追えるようになっていますので、海堂尊氏の物語のファンの方以外でも十分楽しめる内容となっています。

 フィクションです、と最後にはお決まりの文言が明記されていますが、少し想像力を働かせれば、誰を指しているかは容易に想像できますし、「桜宮サーガ」シリーズを読んだことのある方は、登場人物についてさりげなく説明がなされていますので、思い出しやすくなっています。

 それにしても、海堂氏の物語を読んで唸らされるのが、プロットの精密さです。読み進めていくとこれがそれの伏線になっていてこの事態に繋がるのかと毎度、感心させられます。今回の物語以前だと、荒唐無稽だけれど、事実も含まれているのだろうなという感覚でしたが、今回の物語についてはメディアで取り上げられていた情報が余りに多かったので自然と頭にインプットされていることも多く、それらの情報が勝手にパズルにピースのように組み合わさっていく感覚を覚えました。

 私が好きな没入感は無かったですが、それとは別の感覚(多分に作品を読む上での事前の情報の多さが作用していると思います)を得ることができ、一気に読むことが出来ました。

おススメです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

海堂尊(2020)『コロナ黙示録』.宝島社.


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