パズル

そう、この物語はパズルに似ている。

断片的な情報、主観、思い込み、個人的な推測。

それらから読み取れることは何か。

タイトルにもなっている高島太一を殺したい五人が5人とも塾講師というのも目のつけどころが秀逸。
各人が論理的思考の持ち主であることに違和感もないし、キャリアが異なるのも違う論点を提示する上で不可欠。

ある一定の時間をかけて検討した上で、殺害するという覚悟を持って集っている登場人物だからこその議論は、現実世界ではあり得ないのだろうが、それでも迫力があり、スピード感もある。

ただし、ある程度、読み進めていくと落とし所はここだろうと思わざるを得ない点は少し残念ではあるが、逆に納得感はある。
出来得れば、その後がどのような展開になったのかを知りたいところではあるが、余韻を楽しめると言えば、楽しめる。

それほど、経験は無いが、演劇だと映える物語なのだろう。

登場人物は限定されていて、場所も固定。会話そのものがストーリーテリングとなっている。
ならば、演者の表情を見てみたい。苦悶の表情、達観の表情、諦観の表情、その時々の表情がまた、イマジネーションを拡げてくれる。

すでにありそうだな。


石持浅海(2022)『高島太一を殺したい五人』.光文社.


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