群疑満腹

心が多くの疑問でいっぱいになること。 また、多くの人がみな疑いの心を抱くこと。




ひりつく物語。読後に心がざつく。伊兼氏の世界へ没入できたことの充足感と、張りつめた世界から脱した疲労感とが同時に襲ってくる。
この感覚が他の物語にはない感覚。あぁ、帰ってきたなと。

久しぶりに伊兼氏の物語を読んだが、改めて氏の世界へ没入できることの幸福を認識。
もともと読者に覚悟を求められる峻烈な印象があったが、今回の物語はその度合いが増した印象がある。

物語の主人公は、警察の若手キャリア。地方都市、おそらく神戸市がイメージされた都市に管理官として配属されるところから物語はスタート。
取り巻く登場人物が妙にリアルで、別に容姿が詳細に描写されているわけでもないのに目に浮かんでくる。
物語が進むにつれ、警察内部にも疑惑の視線を投げかけずにいかない状況に追い込まれる。主人公と気持ちがシンクロし、息苦しくなる。
いつもながら、パッピーエンドで終わることはないが、また、この世界観に浸りたいと思ってしまう。

間違いなく、オススメ



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

伊兼源太郎(2022)「祈りも涙も忘れていた」.ハヤカワ

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1件のコメント

30秒間読書感想文:伊兼源太郎氏『地検のS Sの幕引き』 - 大学よもやま話 · 2023-08-07 11:51

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