今回の書籍は伊兼源太郎氏の『警視庁監察ファイル ブラックリスト』です。

今回も伊兼源太郎氏の小説を手に取ってしまいました。私、ジャゲ買いならずタイトル買いをしてしまうタイプで警視庁で監察って何?というところから手に取りました。

実はこの小説、続編でして、『密告はうたう 警視庁監察ファイル』が前作の小説となります。しかも、まだ読んでません、とほほ。でも、前作を匂わせつつ、というか読後に気づいてそう言えばという感じだったのですが、物語のプロットがキッチリしていますので、全く問題ありません。それにしても皆さん、警務部監察係ってご存知ですか? 私、全く知りませんで、書籍の最初に警視庁組織図が出ているのですが、ふーんという感じでみたくらいで、読みながら、ふんふんなるほどとなったわけです。先ほどはわざと課を飛ばしましたが、正確には、警視庁警務部人事一課監察係という部署名となっています。人事?そう、勘の良い方ならお分かりかと思いますが、警察官が警察官を監察する係の部署を指します。なるほどー。様々な観点から公権力を持つ警察にはそのような部署も設置されているのかぁと感心してしまいました。本文には「四万人を超える警視庁職員の不正を突き止める役割を担っている。行確―行動確認をして、対象者の素行を徹底的に洗う。」とあります。

 でも、伊兼氏はなぜこのマイナーな部署に焦点を当ててこの物語を書いたのか。主人公・佐良と同じ部署の皆口菜子を軸として展開されていくのですが、当然、この部署に至るまでに他の部署での経験もあり、その時の経験も深く関与しています。同僚だった斎藤が殉職したことも要因としてほのめかされています。

伊兼氏の物語では主人公のバックグラウンドのみならず、他の登場人物が非常に丁寧に描かれており、この頁数でほんとに終わるの?と思わされますが、キッチリ最後にはまとまっているという。読んだ後になるほどと思わせてくれるのも毎回楽しみです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

伊兼源太郎(2019)『警視庁監察ファイル ブラックリスト』.実業之日本社


2件のコメント

1分間読書感想文:伊兼源太郎氏『事件持ち』 - 大学よもやま話 · 2021-11-14 22:56

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1分間読書感想文:伊兼源太郎氏『ぼくらはアン』 - 大学よもやま話 · 2022-04-02 22:37

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