この物語の舞台は『居酒屋ロミオとジュリエット』。皆さんはこの名作を読んだことがありますか? 恥ずかしながら、私は読んだことがございませんでした。ですが、読まれていない方にも、いや読まれていない方こそ、この物語は適していると思います。実際、私がそうでした。

今さら、名作の筋書き紹介もないですが、いがみ合っていた両家の息子と娘が恋に落ち、誤解やタイミングの問題で二人とも天国に召されてしまうというお話しです。

で、この物語では、主人公(現役の刑事です)が居酒屋に居合わせた人たちの話しについぞ巻き込まれ、いや自ら飛び込んで、事件の真相を明らかにしてしまいます。全てではないのですが。概ねそうです。

同じ事象でも見る人によって視点が異なる。このことはミステリーなどの物語に依らず、ビジネスの世界でも同様で、ある人にはこう見えてることでも、ある人から見るとこう見えるということはよくあることで、ここにビジネスチャンスもありがちと言えば、ありがちです。また、上司によっては、業務そのものが丸ごと無くなることもなくはないです。私も異動したら、まず業務の棚卸しをして、いらない業務をバサバサ無くしていきます。意外と慣例が多かったり、こうしなくてはという思い込みがあったりしますから。

そういった観点からも名作というプロットを誰しもが共有してるものを材料に事件を紐解いていくという手法は本当に見事としか言い表せず、林氏の巧みな表現テクニックには舌を巻かざるを得ません。光文社のHPによると「カッパ・ワンの奇才が帰ってきた」との表現がありますので、ミステリー業界では有名な方みたいです。

おススメです。

林泰広(2017)『分かったで済むなら、名探偵はいらない』.光文社.


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