今回の書籍は『スワン』です。

なぜ、この本を手に取ったか。それは、日本推理作家協会の長編および連作短編集部門で賞を獲得されていたから。ミーハーですみません。

で、なぜ、日本推理作家協会選定の書籍を手にしようと思ったか。それは、柳広司氏がエッセイで日本推理作家協会で賞を獲得した書籍を貪るように読んでいた時代があったとおっしゃっていたので、そうだそうだ、日本で選りすぐりの作家の人達が選んだ書籍なら面白いに違いないと思った訳です。他力本願です、はい。前置きが長くなりました。

で、本題です。『スワン』です。正直、読み進めるのが苦痛な場面が多かったです。いや、面白いんですよ、勿論。人物描写も卓越してますし、ストーリーもほんと引き込まれてしまいます。でも、というかだからというか、重たかったです。特に導入部。そして、主人公のいずみの心情にシンクロする度にどんどん重苦しくなっていったわけです。舞台は「湖名川シティガーデン・スワン」。ここで起こった連続殺傷事件から物語は始まります。当然、加害者の視点、被害者の視点から描かれており、事件後、被害者たちがある人物から呼び集められ、物語が進んでいきます。主人公「片岡いずみ」という女子高校生で、彼女の視点で進められていきます。スワンという舞台と「白鳥の湖」という有名なバレエ作品、そして「片岡いずみ」がバレエをやっているという関連性が物語の奥行と幅を持たせています。なるほど、そういうことかと最後には思うわけですが、私、やはり人が天に召される(お亡くなりになることを私はこのように表現しております)場面がある、いやそのような場面があっても良いのですが、私のように物語に入り込んで読むタイプの人間には臨場感溢れるそのような場面は精神的にズーンときます。

ということで、作品としては非常に優れていると認識しつつも、呉勝浩氏の小説はしばらくご遠慮したいなぁと思った次第です。

でもドラマだったり、映画だったりと、映像化されるとまた違う魅力が出てきそうな気もしていて、そうなると性懲りもなく見てしまうのだろうなぁとも思ってしまっています。ある種の中毒性があるということでしょうか。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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