本日の物語は、福田和代氏の『タワーリング』です。

装丁で想像がつくように六本木ヒルズ並みの超高層ビルの物語です。超高層ビルを題材とした物語でしかも、そのビルを丸ごとジャックするという物語でもあります。これってどう幕を下ろすのだろうとまたもや没入感を感じることができたのですが、と言いつつ、あと何頁くらいあるのだろうと分量も気になって読んでいました。そう考えると、少し引いた形で読んでいたんでしょうね。そして、何度も最初のプロローグや合間合間に挿入されている犯人と思しき人たちのやりとりへ戻りたいと思いつつ、いや、最後まで一気に読んでしまいたいという衝動に駆られ、自分を制しながら読み終えました。どこか既視感と言うか、これって最初のプロローグにある何かに引っかかっているんだろうなぁと思いつつ。

今となっては、最後まで読み進めて良かったと思っていますし、最後まで読んだ後でプロローグを振り返るとジーンとしてしまいました。

福田氏の物語って嫌な気持ちにならないんですよね。そこが好きなのかも。かと言って、理不尽なこともあったり、やるせないことも描かれているのですが、それって誰しも経験することであり、それも含めても人生であると勝手に解釈してたりします。

一点、今回の物語で更なる没入感に浸れたのではないかと思った点は、犯人たちへの感情移入がもっとできれば良かったかも。それぞれ味のあるキャラクターだったので、更に深堀できれば、更なる没入感に浸れたのかもとも思いました。

とは言いながら、今回の物語も当然、おススメです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

福田和代(2011)『タワーリング』.新潮社.

(参考記事)


1件のコメント

30秒間読書感想文:福田和代氏『侵略者』 - 大学よもやま話 · 2022-05-10 22:37

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