本日の物語は、福田和代氏の『暗号通過クライシス BUG 広域警察極秘捜査班』です。

表紙のイラストが印象的な物語になっていて、一体、誰を指しているんだろうと思ってしまいました。鎖に縛られているようなメタファー、そして頬を伝う涙。

帯に

「裏切り者は誰だ。」

と書かれてありますので、読み進めると登場人物皆が裏切り者に見えてくるから不思議ですね。まんまと編集者の罠にはまってしまう私。でも、途中から全く気にならなくなるんですよね。何せそんなことを気にする間もないスピード感で物語が展開されていくので。

主人公は、冤罪で死刑執行されたはずの水城陸。今は名を変えて、沖田シュウ。彼自身をターゲットとした襲撃が執拗に実行されていき、それに対して彼がどのように向かっていくのかが物語の大筋です。

読み終えた後に改めて表紙を見ると、その瞳と涙と鎖が心象風景であることが分かると思います。

物語を読んでいくと、時折、メタファーとしての表現が刺さってくることがあります。

今回はそれが「トロッコ」でした。乗っているトロッコが永遠に続くと思って乗っているが、一旦、視点を離してみると、もう終わりが近づいていることは明らか。

メタ認知とも表現できると思いますが、得てして、視点が近いと視野が狭くなり、そんなに遠くないことも見えなくなってしまう。単に没入させるだけでなく、そのような視点を与えてくれる物語は本当に有難いです。

それと実はまたやっちまいまして、続編から読んでしまいました。どうも話しの前段があるような気がしてならなかったのですが、途中から気づきました。急いで前の物語を読まねば。

ともかく、オススメです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

福田和代(2020)『暗号通過クライシス BUG 広域警察極秘捜査班』.新潮社.

(参考記事)


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