今回のテーマはつい先日報道されていました長浜バイオ大学が市に公立化の提案についてです。

「長浜バイオ大が市に公立化提案 地域寄与や学部・学科改組の案も」(2022.05.06毎日新聞HP)はこちら

まずは、長浜バイオ大学の概要ですが、滋賀県長浜市に所在している単科大学でして、学部学科構成は以下の通り。

バイオサイエンス学部

 フロンティアバイオサイエンス学科

 アニマルバイオサイエンス学科

 メディカルバイオサイエンス学科

設立は2003年度で、設立母体は学校法人関西文理総合学園です。元々は予備校を開校し、その後、専門学校を経て、大学の開設に至っています。(関西文理総合学園沿革はこちら

報道によれば、近隣にバイオサイエンス系の学部が増設されたことに伴い、昨年度から定員割れをしていることが公立化提案の要因のひとつとなっているようです。

私立大学の公立化については、以前の記事(1分間解説:徳山大学から周南公立大学への設置者変更(名称変更)の認可が下りました)でも扱っていますが、手続き上で言いますと大学の設置者の変更という手続きになります。その手続きの分類としては、以下の3通り。

 1.私立から公立へ

 2.複数校を設置している学校法人の大学の分離

 3.学部譲渡

今回の長浜バイオ大学の提案は1番目の分類に当てはまりますが、私立大学が公立化を選択する要因・動機は何かと言いますと、分かりやすく言うと、学費が下がるため、学費における競争力がつき、志願者数が増加するということです。競争力のあるコンテンツ(教育プログラム)を持っているという前提が必要なのですが、私立大学の時と公立大学化された後の学部学科構成が全く変わっていない大学もありますので、果たしてコンテンツの問題なのかは正直疑問なところではあります。

ただ、確かにその地域に大学あるというメリット(毎年、一定数の若者を確保できるという)はありますので、自治体も公立化を受け入れる選択をするわけです。国からの交付金も出ますので懐も痛まないですし。

さて、人口減少期にある状況にある日本において、公立大学数の推移はどうなっているのかと言うと、平成元年度39校だった大学数が令和3年度には98校と倍近くに増えています。国立大学(86校)よりも多い大学数となっています。ご存知でしたか?

先ほども、触れましたように、公立大学も国立大学同様、ほぼ税金で賄われていますので、これほどの大学数が必要なのかの検討されるべき時期なのではないかと。

ちなみに公立化の課題については以下の記事に記載されていますので、是非とも一読いただければと。

「増える経営難私大の公立化 〝延命策〟の懸念」(2020.08.06 WEDGE Infinity HP)はこちら

文部科学省も公立化に関して、データを公表していますので、課題が浮き彫りになっています。

「私立大学の公立化に際しての経済上の影響分析及び公立化効果の「見える化」に関するデータ」(文部科学省HP)はこちら

見えてくるのは、公立大学の存在意義・使命は何かということです。公立化した結果、他県からの入学生の割合が多くなり、地元への定着率も下がるというデータも読み取れます。それで果たして良いのか。私学で言うところの建学の精神に立ち戻って検討することが肝要かと思われます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

参考記事


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