本日のテーマは、修業年限の通算についてです。

修業年限の通算と言われても何のことやらですよね。2021年7月21日に開催されました大学分科会の資料によりますと、現行では、大学の学生以外の人(社会人など)が科目等履修生として大学で一定の単位を修得した場合には、修業年限(入学してから卒業するまでの期間を指します)を短くすることが出来るんですよね。ただし! 高校生以外です。なぜなら、大学入学資格を有さないということからのようです。

中央教育審議会大学分科会(第162回)(2021.7.21開催) 配付資料はこちら

配付資料の事例の転記はこちらです。

これって、勿体無いですよね。高等学校での勉強だけでも大変なのに、大学の授業まで履修しようという意気込みだけでも単位をあげたいくらいです。そこで、結論で言いますと、学校教育法施行規則第146条を改正して、大学入学後に修業年限の通算を可能とする方向だそうです。

 修業年限の通算については、高大接続にも絡む問題ですし、才能教育にも絡む問題でもあったりします。なぜ、そのような制約があったのか。それも資料に記載があるのですが、「相当年齢」という考え方が前提であったようで、一般学生よりも若年での卒業を認めることは適当でないという立場だったようです。これも分からなくもありません。先取り教育による弊害ってやはりありますからね。深度が浅いというか、なぞっただけに終わるというか。

 しかし、時代は進んでいくものです。「早期卒業制度の創設、海外の高等学校を卒業した者に大学入学資格を付与する際の年齢制限(18歳以上)の撤廃など、政策目的に応じて相当年齢主義の例外が認められて」きているという現状に則した形の制度改正に至った模様です。

ここで妄想入ります。

そうなると、飛び入学制度を有している大学は高大接続をより強化して自大学の特色をアピールできるようになりますし、むしろそれがスタンダードになる可能性もあります。そして、大学院入学の年齢も下がってくるという事は、博士課程の入学者増加もする可能性もあります。だって、国内の博士号取得者は着実に減少していますし、おそらく海外の大学へ進学して博士号を取得する学生は増えていく傾向が予測される現状において、この制度改正は前提の前提になると思われます。

高大接続が重視されるということは、大学の授業の改善にもつながります(個人的には授業の質で言うと高等学校の方が上だと思っています)し、入試改革よりも遥かに高校生のキャリア意識に変化をもたらすと予測されます。大学の授業を受けることで、「おっ、面白そう」や「いや、違う。進路変更しよう」と自分の進路について具体的に考える機会が増えるという事ですから。

 ちなみに、大学の先取り履修の取組例として、「広島県立広島国泰寺高等学校(WWL事業)」が取り上げられています。先取り履修として、広島大学、県立広島大学の科目を履修できる講座の設置と共に、高度な学びとしてスタンフォード大学の遠隔講義も含まれています。これって、広島県の教育行政の新たなチャレンジを感じませんか。もしかして、広島県はかなり先を見据えて教育行政の舵を切っている可能性がありますよー。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

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