今回の映画は、細田守監督の物語です。

「賛美」と「羽化」でしょうか。一言で言い表すとすると。

「賛美」はともかく、劇中歌です。いくつも紡がれる歌に胸がざわつきました。ミュージカル映画はどうも気恥ずかしさが出てくるのですが、この物語は、胸がざわつくという不思議な症状が出現しました。初めてのことで戸惑いましたが、没入しているのだと気づくのに随分と時間がかかりました。

「羽化」について。

主人公の内藤鈴は「歌うことが大好きだったが、幼い頃、母親を事故で亡くしてからは人前では歌を歌えなく」なってしまった女子高生。幼い頃に親を亡くすという衝撃はとても共感できるレベルのものではありませんが、それでも多くの殻を作ってしまったことは鈴の細かな描写から容易に想像が出来てしまいます。どうしようもないと分かっているからこそ、諦めてしまっている自分。可能性を探す手段、いや、別の人生を歩む自分を生み出すため、Uという仮想空間で鈴は歌を始めます。そこでは、全く異なる自分を生み出し、多くの共感を勝ち取ります。でも、そこに彼女の「羽化」はありません。むしろ、リアルの自分との差に段々と苛まれていく。そんな時に竜と出会い、考え始めます。この状況を。竜を通して、自分自身を。そして、竜との触れ合いの中で「羽化」していく。そして、彼女だけでなく、彼女を取り巻く周りの人たち、そして、竜も。

ともかく、おススメです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

映画『竜とそばかすの姫』.2021


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