OECDが2019年5月に公表した「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」に記載のある言葉について今回は調べてみました。そもそも「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」を知らなかった私。どうやら東北の震災を起点とした様々な国際的な流れてのひとつの帰着点のようです。でもまだ、進行中ですので、正確には一旦、着陸して再度、浮上しているもしくは給油してさらに上空へ飛び立っているイメージでしょうか。経年で見ますと、2012-2014年:OECD東北スクール・2015-2018年:E2030フェーズ1 2019-2022年:E2030フェーズ2という流れです。

「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」の詳細については、こちら

OECDのHPはこちら

ラーニング・コンパスというコンセプトはいいですよね。コンパス。これからどこへ向かうのか。様々な道のりを経て自分たちが目指す場所へ向かうためのコンパス。とてもしっくりきます。

で、このコンセプトを読んでいくと見慣れない言葉にぶち当たりました。それは「生徒エージェンシー」。エージェンシー? 普通に訳すと代理店? なんですと? 絶対違うでしょ。

OECDのHPを見ても確かに「Student agency」とあります。日本語訳でないということは少なくとも日本語ではないということ。少なくとも私にはなじみがありませんでしたので、今回リサーチすることとしました。

まずは、辞書(研究社の新英和中辞典)で調べてみますと、

  1. 代理店、取次店、特約店
  2. 仲介、斡旋、媒介、世話
  3. (ある結果をもたらす)力、作用、働き

とあります。どうやら、3の意味に近そうです。

「ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030」には、生徒エージェンシーの注釈として、「OECD(2018)のポジション・ペーパーによると「エージェンシーは,社会参画を通じて人々や物事,環境がより良いものとなるように影響を与えるという責任感を持っていることを含意する」とあります。これは新学習指導要領で示されている主体性に近い概念ですが、より広い概念と考えられます。」と記されています。主体性より広い概念。

エージェンシー>主体性

ですか。日本語で表せないということは日本人にはイマイチイメージしづらい概念ということなんでしょうね。少なくとも私はピンと来ていません。なので、もう少し調べてみました。するとOECD 教育・スキル局の鈴木文孝氏の「OECD 学びの羅針盤(Learning Compass)2030とEducation2030 Phase2に向けて」という資料にIWG2という会議の中で公表されているコンセプトノートという報告書にエージェンシーの重要性の記載として、

1.働きかけられる        というよりも 自らが働きかけること

2.型にはめ込まれる       というよりも 自ら型を作ること

3.他人の判断や選択に左右される というよりも 責任を持った判断や選択を行うこと

を記されています。左側全部日本の教育の様な気がしてなりません。私だけでしょうか。そして、右側は全て自分が起点となっていますね。それでも主体性でも良いような気が。

そして、生徒エージェンシーとして

1.生徒が自分の人生や周りの世界に対してポジティブな影響を与えうる意思と能力を持っている

2.変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力

が記されています。

これはさすがに主体性とはニュアンスが異なりますね。

「周りにポジティブな影響を与えること」も良いですし、「振り返りながら」も良いですね。

これからはVUCA時代と言われているように本当に誰もが未体験の状況に突入する時代と言われています。つまり、経験を積んだことが必ずしもポジティブに働くとは限らいない。どんな状況においても自分で認知し、思考し、行動することが唯一の解となると思われます。初等中等教育段階でその能力を育成していけるとすれば、これほど心強いことはありません。

これきっかけでこのペーパーを少し深堀りしていきたいと思いました。今回はとっかかりということで。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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