今回も3月30日に公表されている教育未来創造会議についてです。

「第2回教育未来創造会議を開催」(2022.03.30文部科学省HP)はこちら

「第2回 教育未来創造会議 配布資料」(2022.03.30内閣官房HP)はこちら

今回はその中でも資料2の「参考資料集」について見てみたいと思います。この中に記載のある「地域活性化人材育成事業 ~SPARC~」については、以前に記事(「文部科学省の新規事業「地域活性化人材育成事業」と特別補助を比べてみた」)にしたことがありますので、是非、ご覧いただきたいのですが、実はその次の頁には「新たな時代のニーズに応じた学部等への改組の取組事例」が例示されています。これって、おそらく、「地域活性化人材育成事業 ~SPARC~」の「タイプ①学部等の再編を目指す取組」の学部の例示ではないかと思っています。もちろん改組の取組事例は単体の学部の例示なんですが、でも、取組事例の学部ってどれもSTEAM教育を基盤とした学部に近いイメージですので、素直に見るとそう見えてしまいます。「本事業で目指す姿」にも「大学間連携により、文系学部でも自然科学の素養を身に付けられる教育体制を整備し、教育内容の充実を図る(本事業を通じ、学部等の再編、拡充など科学技術分野の人材育成を促進)」という記載がありますし。

では、具体的にどのような大学の学部が例示されているのかと言いますと以下の6学部です。

1)武蔵野大学データサイエンス学部

2)芝浦工業大学工学部先進国際課程

3)立正大学データサイエンス学部

4)京都橘大学工学部

5)関西学院大学理工系学部

6)龍谷大学先端理工学部

どうでしょうか。芝浦工業大学を除いては比較的文系のイメージのある大学ですが、新設なり改組なりで文理融合を意識した学部を開設しています。しかもここ数年の出来事ですので、明らかに今後の社会動向や政策を意識しての動きであると捉えることができます。そう考えると滋賀大学の動きは先見の明があったということですので、もっと注目を浴びて良いと個人的には思っています。しかも国立大学ですからね。私学ならまだしも。

話しを戻します。で、この事業(地域活性化人材育成事業 ~SPARC~)は、あくまで地域社会と大学間の連携を通じて既存の教育プログラムを再構築することを目指していますので、作る学部のイメージはこうだけど、大学間と地域社会の連携は必須だからねということは忘れてはいけません。そこがハードルが高いなと私は思っています。但し、この事業の裏読みをすると、来るべき大学淘汰(もう始まっていますけど)に向けての布石でしょうから、教育リソースが乏しい大学は真剣に取り組んでおくべきでしょう。単体で生き残れるのはほんの一握りでしょうから、何らかの連携は必須となり、その際に国の施策と路線を合わせるのであれば、補助しますよと。その路線と言うのが今後不足、いや既に不足しているAI・データサイエンス分野の人材の育成だということです。もはや、看板の架け替えや、安易な定員削減では生き残れる確率は極端に低くなっていますので、差し伸べられた手にすがるのか、それとも独自に教育プログラムをブラッシュアップしていくのか、リーダーの牽引力と組織の総合力と両方が問われています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(参考記事)


2件のコメント

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