本日のテーマは令和5年度に開設予定の学部等についてです。

「令和5年度開設予定の大学等の設置に係る答申について(令和4年10月26日)」(2022.10.26 文部科学省)はこちら

いやぁ、今回の附帯事項はどの大学にとっても参考、いや真摯に受け止めるべき内容となっているのではないでしょうか。どのあたりに私が着目したかと言いますと、ズバリ、3ポリシー(ディプロマ・ポリシー(DP)、カリキュラム・ポリシー(CP)、アドミッション・ポリシー(AP))の関係性、整合性がきちんととれているかどうかの視点であります。今回、学部を開設する大学として挙がっている大学のうち、大阪成蹊大学はDPとCPの整合性、日本文理大学はAPと実際のカリキュラムとの整合性を附帯事項として記載されています。

ちなみにこの「附帯事項」は「大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続き等に関する規則」第13条に基づく、設置認可を受けた者が設置計画を履行するに当たって留意すべき事項として2つに区分されています。

ひとつは、「遵守事項」で「認可を受けた者が設置計画を履行する際に、必ず対応を求める事項」

もうひとつは、「助言事項」で「認可を受けた者が設置計画を履行する際に、当該計画の充実を助言する事項」

当然、「遵守事項」がきつい縛りな訳でして、年次進行に従って、文部科学省へ提出する履行状況調査で必ず対応しなければならない事項であります。

詳細は少し古いですが文部科学省の説明会資料を見ていただけますと、分かりやすいかと。

「平成29年度 大学設置等に関する事務担当者説明会資料」(2017.12.22 文部科学省)はこちら

で、大阪成蹊大学も日本文理大学も「遵守事項」となっており、設置審査の際に如何に3ポリシーが重視されているかを物語っています。でも、どちらも至極真っ当なご指摘でして。

例えば、大阪成蹊大学看護学部の場合、

「ディプロマ・ポリシー イの「人間を全人的に理解し…看護職を目指す者として使命感を持ち役割を果たすことができる」に対応すると説明されたカリキュラム・ポリシー イについて、「使命感」を身に付けるための教育課程の編成等の方針が示されているか判断でき

ずディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーの関係性や整合性が必ずしも明確であるとは言い難(がた)い。」

と記載されています。うーーん、ご最も。これを他山の石として、設置認可申請があろうとなかろうと、絶えず自大学の教育プログラムの見直しに反映させていきたいものです。

ここまで来たので、ついでに日本文理大学も。

「本変更の意図として「大学での修学に必要な基礎事項を理解していることと、専門能力を育成する上で、特に必要となると考える「数学」または「国語」における学習意欲と基礎学力を求める」と説明されたが、コース共通の専門科目を見ると、「解剖学」や「生理学」、「生化学」等といった化学や生物学と関連する科目が多く見られ、教養教育科目においても力学や生物、化学に関するリテラシー科目を複数開講しているなど、本学部において必要となる基礎学力は、化学、生物、物理といった理系科目も想定されると見受けられることから、必要に応じてアドミッション・ポリシーに掲げる必要な教科に「理科」を加えるか、「理科」をアドミッション・ポリシーに掲げないことを含めて入学志願者に求める基礎的知識の考え方を明確に周知すること。」

ここまで指摘されるとむしろ有難く思ってしまうのは私だけでしょうか。大学としての基礎を何に置くのか、そして保健医療学部に必要な基礎は何かという根本に立ち返るとご最もなご指摘。

これを機にこれまでの設置認可の附帯事項を見直してみるのもアリだなと思ってしまいました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

(参考記事)


1件のコメント

30秒感想:大学等設置等に係る寄附行為(変更)認可後の財政状況及び施設等整備状況調査結果について(令和4年度) - 大学よもやま話 · 2023-03-30 22:34

[…] 30秒解説:令和5年度開設予定の学部等の設置に係る答申について(令和… https://takayamaclub.matrix.jp/columns/faculty-opening07/ カテゴリー: 大学 タグ: 寄附行為 […]

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