海外の一流大学の国内誘致が日米首脳会談で取り上げられていますので、いよいよ現実的なものとなりそうですね。

「スタンフォードやMITが日本に? 総理肝いり「スタートアップ10倍増計画」で海外大学誘致へ TBS NEWS DIG)はこちら

表向きはスタートアップ推進という名目なんでしょうが、これって、国内大学の国際間競争を加速させるのは間違いないですから、たとえ地方の大学であっても相当な危機感を持って今の教育プログラムを見直さないと根こそぎ持っていかれることになるのは容易に想像できます。どういうことか。国内の一流と言われている大学が今まで獲得していた層のうち一定の割合は海外の国内大学に進学を希望し、入学していくでしょうから、定員を充足させるためには大規模大学は特に今まで取っていなかった層の学生まで合格を出すことになるでしょう。そうなると玉突き現象が起きますので、結局、影響が併願校に及ぶことになります。下手をすると定員割れの大学の急増が起こりえます。18歳人口は確実に減っていますしね。

ちなみに少し古いデータ(2017年)ですが、文部科学省の資料に依りますと、

(「大学の海外展開について ―海外校を中心に―」(文部科学省)はこちら

積極的に海外展開する国としての事例が示されており、

提供国別ブランチキャンパス数として

米国 84校

英国 42校

フランス 30校

ロシア 18校

豪州 15校

が取り上げられています。

また、積極的に外国の大学を受け入れている国で、

受入れ国別外国大学ブランチキャンパス数として

中国 38校

ドバイ 26校

マレーシア 13校

カタール 11校

シンガポール 11校

が取り上げられています。

どうでしょうか? 多いですか、少ないですか?

私は提供国のイメージはだいたいこのような感じでしたが、受入国のイメージが中国が多くて驚きました。中東への大学進出は一時、メディアに出ていましたので、印象にあったのですが、中国でこれほどのキャンパス数が設けられているとは思いませんでした。シンガポールも含め、高等教育課程の国家戦略の表れなんでしょうね。

日本の場合は、国内での大学の淘汰が始まっているタイミングで海外大学の誘致をすることに関して、様々な議論をしていただきたいと思います。おそらく国家予算を幾らか支出することになるでしょうから、そのことの必要性と国内大学への支出のバランスは改めて議論をしていただきたいなと。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。


2件のコメント

アメリカ合衆国の大学は節目を迎えています(ハーバード大学・ノースカロライナ大学) - 大学よもやま話 · 2023-07-05 11:32

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