今回のテーマは前回に引き続き、文部科学省が公開している「諸外国の教育統計」についてです。(公表されているデータはこちら

 今回でとりあえず「諸外国の教育統計」の最終回としたいとしたいと思います。

で、最後は国際間比較ということで、積み上げ棒グラフにしてみました。

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

どうでしょうか。一瞬、見にくいかなとも思いましたが、ここまではっきり差異が出ると窮屈さもそんなに気になりませんね。というのも、各国の事情も勿論異なりますので、思い切って、学生納付金・公財政支出・その他の3分類で作成してみました。細かな違いはこの際、目をつむって大きな傾向が見られないかと思い、試みてみました。今まで考察してきた傾向から日本と韓国って国公立大学と私立大学ともに構造的に似てるなぁと思っていましたが、ここにきてはっきりとした差異が見てとれました。それは国立大学における学生納付金の扱いです。日本では国立大学・公立大学ともに10%程度ある学生納付金収入が、韓国の国立大学の場合、ゼロですね。そして、公財政支出が約50%と日本とは20ポイントも差があります。80%超のフランスはおいておくとしても、ドイツと中国と似たような公財政支出の割合となっています。一概には言えませんが、せめてアメリカ合衆国の州立大学並みの40%程度の支出はあってもよいのではないかと他の国と比較して率直に思いました。

そして、次に私立大学間の比率の比較ですが、ここでも注目をしたいのが、アメリカ合衆国のその他の収入の割合が50%を超えている点です。他の国を見てみるとドイツで50%、日本が41%、韓国で27%、中国に至っては15%となっています。中国の学生納付金の収入全体に占める割合が70%を超えてますから、学生の入学状況がそのまま経営に直結するといっても過言ではありません。実は、日本の地方の中小規模の私立大学も同様の構造となっていますので、ほぼ同じと言えます。なので、学生募集に苦戦すると途端に経営が行き詰まることとなります。なので、中国の私立大学の経営は相当シビアなのだろうなぁと思わされます。それに比べて、アメリカ合衆国の私立大学の経営の分厚さが恐ろしくもあり、いやいやそうあるべきだろうとも思ってしまいます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


1件のコメント

諸外国の教育統計 記事まとめ - 大学よもやま話 · 2021-07-30 07:52

[…] 「諸外国の教育統計」令和3(2021)版が公開されています(その6) 「諸外国の教育統計」令和3(2021)版が公開されています(その7) 投稿日: 2021-07-29作成者: takayamaclubカテゴリー: 海外事情 タグ: […]

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です