今回のテーマは前回に引き続き、文部科学省が公開している「諸外国の教育統計」についてです。(公表されているデータはこちら

 今回は学部段階の学位取得者の専攻分野別構成の比較を見てみたいと思います。せっかくなので、国別に円グラフにしてみました。勿論、最後に国別の比較のグラフも作成しました。

まずは、日本から。どうでしょうか。普段持たれているイメージと合っていますか?

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

半分は人文、法経系の文系で、残りが理系と医学系と教育系ですね。意外と理学が少ないんですね。農学と家政とあまり差がありません。こんなに少ないとは。そして意外だったのが教育・教員養成が約8%ですね。国立大学での教員養成学部は改組されていますから、徐々に割合も変わってくることが予測されます。

次にアメリカ合衆国です。

同じく文系は半数以上です。でも理学が約9%です。基礎科学のすそ野の広さがここら辺りに現れているのかもしれません。そして教育・教員養成が日本の半分ですね。アメリカ合衆国は教育に力を入れていてもっと多いイメージでしたが、ここでも認識を改めました。やはり、統計って大切ですね。

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

次はイギリスです。理学はアメリカ合衆国の倍、日本に至っては7倍で大きな差異が出ています。その分、工学が少ないですね。農学も1%ですし、教育・教員養成も4%とアメリカ合衆国とほぼ同じです。医学系は約1割程度で日本とアメリカ合衆国と同様です。

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

次はドイツです。

ぱっと見で文系、理系で綺麗に分かれています。中でも法経系は約4割と圧倒的です。実学重視ということが文系でも表れているのでしょう。同様に工学も約2割と他の国よりも多いです。これも実学重視かと。それにしても、教育・教員養成が3%ですので、国際標準で見ると日本の割合が特殊という見方も出来ます。ほぼ倍ですから。気になるのは医学系の少なさ。そんなイメージは無いのですが、割合で見ると少ないですね。

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

最後に韓国です。韓国も他国とは異なりますね。理学は日本と同様の割合、工学はドイツと同様の割合ですし、農学が他国に比べて多いです。農業のイメージはあまりないですが、需要があるから学位授与希望者がいるわけですし、韓国の状況が現れているのかもしれません。

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

最後に全ての国を比較してみました。上の部分は細かくて分かりにくくて申し訳ありません。工業国のイメージが強いドイツはやはり他国よりも多いですし、差異がある分野はその国の特徴が反映されているように思われます。日本のその他が多いのはなぜなんでしょうか。伝統分野に分類されない学位が続々と生まれているせいでしょうか。そのあたりも興味深いですね。

出典:文部科学省「諸外国の教育統計」令和3(2021)年度版より作成

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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