先々週、下記の報道が出て、これからの大学の置かれている状況の厳しさが改めて浮き彫りとなりました。
「大学定員、2050年に2割埋まらず 入学者49万人に急減」(2023.07.13 日本経済新聞・有料会員限定)はこちら
「大学分科会(第174回) 配付資料」(2023.07.14 文部科学省)はこちら
「【資料5-1】大学入学者数等の将来推計について」はこちら
2040年~2050年の進学率・進学者数推計結果の考察は以下の通り。
・2040年代の各都道府県の大学進学者数の合計は40万人台。
・外国人留学生の数を加えても定員充足率は80%を割る年も見られた
と言うことで、2040年の各都道府県進学者数等推計(2021年基準)が提示されていますので、2040年度の入学定員充足率推計の私立大学の項目を拾ってみました。8を割っている県は以下の通り。
県名 | 入学定員充足率推計(2040) | 私立大学数 |
青森県 | 79.3% | 7校 |
岩手県 | 78.5% | 4校 |
秋田県 | 68.5% | 3校 |
福島県 | 74.2% | 5校 |
新潟県 | 75.5% | 15校 |
石川県 | 79.8% | 8校 |
岐阜県 | 77.6% | 9校 |
兵庫県 | 78.5% | 30校 |
奈良県 | 78.7% | 6校 |
和歌山県 | 76.9% | 3校 |
鳥取県 | 79.3% | 1校 |
岡山県 | 70.8% | 15校 |
広島県 | 79.2% | 15校 |
徳島県 | 65.7% | 2校 |
香川県 | 68.8% | 2校 |
高知県 | 56.9% | 2校 |
佐賀県 | 75.6% | 1校 |
熊本県 | 78.3% | 7校 |
大分県 | 63.9% | 3校 |
宮崎県 | 64.9% | 4校 |
鹿児島県 | 77.5% | 4校 |
このうち、70%を割っているのが、秋田県・徳島県・香川県・高知県・大分県・宮崎県の6県。いずれも県内の私立大学数が5校未満の県です。地域で見ると、東北から1県、四国から3県、九州から2県となっていますので、四国が立地的にいかに厳しくなるかが予測できます。ちなみに残る愛媛県も80.0%(3校)ですので、他3県同様の厳しさが待ち受けている可能性はあります。
また、別の視点で見てみますと、県内の私立大学数が2桁の県は新潟県・兵庫県・岡山県・広島県の3県。個別に見ますと、新潟県は人口に対する大学数が多いと捉えることができます。18歳人口の規模だけで見ますと、宮城県(14校)・長野県(11校)・岐阜県(13校)(国公私立の総数)に近いですから県内に国公私立大学が22校ある新潟県は8~10校くらい多いと捉えることができます。大学数で言うと岡山県も私立大学数が広島県と同数というのも多いと捉えることができます。
もちろん、県ごとの事情が異なりますので、一概に言えませんが、このように全体を眺めて比較をすることで普段、所与の要件としていた事象がある特定の意味を持ってくる可能性もありますので、こういった調査を丹念に読み込んでいる執行部を有する大学は生き残っていく可能性は高いかと。
そして、意外だったのが、兵庫県。国公私立大全体で見ても79.2%と8割を割っています。要因を見るため、別の項目(人口の流入流出)を見てみると、県内から流出する数が流入よりも多くなっています。逆に近隣の大阪府・京都府は流入の方が多いです。人口規模のある兵庫県ですら厳しい状況にありますから、前提となる進学率であったり、留学生数の予測に変化があると途端に影響が出てくる県が続出しそうな予感は拭えません。
本日はこのあたりで。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
(参考記事)
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