今回のテーマも、私立大学の経営状況についてです。

 前回は私立大学の収入と支出の構造について見てみましたが、その続きとなります。

 「私学行政の現状と課題等について」(文部科学省HP)はこちら

学校法人の監事の研修ですので、経営状況、中でも収支状況は今までの推移も含め、概観するのに適した資料が提示されています。「私立大学・短期大学・高等学校の収支状況」では学校種毎の事業活動収入・事業活動支出・基本金組入前当年度収支差額・事業活動収支差額比率・収支差額がマイナスの学校・その割合が平成21年度から令和3年度までが集計されています。もののついでですので、事業活動収支差額比率と収支差額がマイナスの学校の割合を大学と高等学校で比較してみました。

出典:令和3年度学校法人監事研修会資料「私学行政の現状と課題等について」より作成
出典:令和3年度学校法人監事研修会資料「私学行政の現状と課題等について」より作成

どうですか。上のグラフと下のグラフでは違いますよね。

厳密に見るためというよりも概観するするためにグラフ化してみましたので、その形状に着目してみると(極端な値は置いておくとして)、収支差額比率では、私立大学は明らかに悪化しているのに対して、高等学校は改善傾向にあると言えます。私立大学の場合、10年前に6%だったのが、半分の3%にダウンしているのに対して、高等学校の場合、1%が3%にアップしています。

にもかかわらず、収支差額がマイナスの学校割合はどちらも大きな変化は無いように見えます。ほぼ、一緒ですよね。でも、よーくみると高等学校は下落傾向にあり、やはり財務状況が少しずつ上向いていると見ることができます。でも4割超の学校の収支がマイナスということに変わりはなく、厳しい経営状況にあると言えます。私立大学は大きな変化がなく、割合としては約4割弱がマイナスの大学ということに変わりはありません。これから一気に18歳人口が減少していきますので、更に経営環境は厳しくなることは間違いありません。地方の中小規模の大学、そして大規模の大学がどのような戦略を採るのか、地方の国立大学の定員増がそこにどのような影響を及ぼすのか。興味は尽きません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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