３０秒間読書感想文：新川帆立氏『元彼の遺言状』

ようやく読みました。ドラマも始まり、しかも佳境となっている段で読むのもどうかと思いましたが、これも何かの縁。原作とドラマの脚本がかけ離れていることはよくあること。私はドラマはあくまで原作のオマージュとして捉えていますので、全く異なる展開であっても容易に享受できてしまう節操のない人間です、ハイ。

さて、結論から申し上げますと、この物語、おススメです。主人公のお金に対する亡者っぷりもさることながら、亡くなっている主人公の元彼の浮世離れした感覚も、周りの登場人物もすんなり入ってきました。何というのでしょうか、嘘が無いというか。お金持ちに知り合いがいない小市民の私からしてもまぁそんな感覚なのだろうなと思わせてくれますし、私の好きな没入感も体験することができました。

法律関係については、余程、リサーチされているのだろうなと思いきや、本職が弁護士の方ですのでおみそれいたしました。だからなんでしょうね、無駄がないというか、いやあるのですが、無駄と思わせないというか。しつこい表現で申し訳ありませんが、すんなりと入ってきました。しかも、突飛な設定にも関わらず、ミステリーの真っ当なプロットになっているように感じました。ミステリーの根本が分かっていない私が言うのもなんなんですが。要はきちんとした謎解きもされているという意味です。主人公の微妙な変化も、続編を想起させてくれます。ということで、続編にもチャレンジしてみたいと思います。

おススメです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

新川帆立（2021）『元彼の遺言状』．宝島社．