今回は4月18日に公表されている第4回 教育未来創造会議ワーキング・グループについての続きです。

「第4回教育未来創造会議ワーキング・グループを開催」(2022.04.18文部科学省HP)はこちら

「第4回 教育未来創造会議ワーキング・グループ 配布資料」(2022.04.18内閣官房HP)はこちら

前回は資料1の「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)(素案)」の具体策の項目を見てみましたが、今回は中身を見てることとしました。

「(1)進学者のニーズ等も踏まえた成長分野への大学等の再編促進と産学官連携の強化」には、「18 歳人口の急減期を見据えて、学生の確保の見通しが十分でない大学学部の新設が増え続け、経営困難な大学が出る事態から学生を保護する観点から、大学全体としての定員規模の抑制を図る仕組みを導入するとともに定員未充足大学への私学助成の厳格化や、大学の経営困難から学生を保護する視点で、経営改善の見込まれない大学について計画的に規模の縮小や撤退等がなされるよう経営指導を徹底する」

とありますから、単なる自然淘汰だけでなく、学部学科の再編を促しつつ、現行の流れの強化を図ることが読み取れます。

さらに具体的取組には、

「・ 教育の質や学生確保の見通しが十分ではない大学等の定員増に関する設置認可審査の厳格化を図るなど、少子化を見据えた大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備を行う。

・ 私学助成について、必要経費の実態等を踏まえた学部に応じた配分・単価の見直しや、定員未充足大学に対する私学助成の減額率の引き上げ、不交付の厳格化等による教育の質向上を図ることを目的とした定員減へのインセンティブ付与など、全体の構造的な見直しを進める。

・ 大学の経営困難から学生を保護する視点から、計画的な規模の縮小や撤退等も含めた経営指導の徹底や、修学支援新制度の対象を定員充足率が収容定員の8割以上の大学とするなどの機関要件の厳格化を図るとともに、在学する学生の円滑な転学や学籍管理の継承等についても必要な仕組みを整備する。」

と記載があり、ポイントは以下の3点。

1.設置認可の抑制

2.私学助成の厳格化(定員未充足の大学には更に助成金を減額)

3.経営指導体制の強化

1については、大学設置基準の改正を検討しているようですから、それに併せての審査の厳格化が伺えます。

2については、超過率もさることながら、未充足率の基準による私学助成の減額幅を広げるということでしょう。

3については、既に以下のような制度は確立されていまして、その対象となる学校法人の範囲を広げるのではないかと思われます。

「私立学校の経営状況について(概要)」(文部科学省HP)はこちら

ちなみに現行制度では、経営指導強化指標の設定として

経営悪化傾向にはあるものの直ちに適切な経営改善に取り組めば改善の余地があるという目安が定められており、

・「運用資産-外部負債」がマイナス

・経常収支差額が3か年マイナス

の学校法人は、学校法人運営調査対象法人となり、経営指導を受けることになっています。

今後、様々な方針が立てられ、様々な基準が見直されていくと思いますが、常日頃からアンテナを張りつつ、教育プログラムの改善を怠っていない大学とそうでない大学とでは、ますます差が開いていくと同時に、このように外堀もどんどん埋まっていくという状況にあります。シビアな経営と世界基準の教育サービスの両立は必須です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(参考記事)


1件のコメント

30秒感想:教育未来創造会議「第一次提言」を受けたこれからの大学について - 大学よもやま話 · 2022-05-31 22:55

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