「物事は解釈の仕方によって、さまざまな姿を見せる」

物語の最後にあるどんでん返しも、伏線回収もこの言葉に集約されているのだと思います。今回の伊坂氏の物語もさまざまな姿を見せてくれていて、思わず引き込まれてしまいました。絵本の体裁をとってはいるものの、中身はしっかりとした物語。いや、絵本と言えども、しっかりとした物語はありますので、それは語弊ありますね。短編小説で、挿絵の分量が異様に大きいと言った方が正解なのでしょう。

 物語は主に二人の男性の会話で進められていく形式をとっており、冒頭の言葉も一人の男性の言葉の1つです。題名から一人は探偵。もう一人の男性の正体は最後まで不明です。のほめかしはありますが。

 そう考えると、題名の主語は、読者なのか、もう一人の男性なのか。

 探偵が主人公の物語なのか、彼の家族の物語なのか、もう一人の男性の物語なのか。

 それらを読み進めていくことで氷解させてくれ、かつ、充分な余韻も堪能させてくれます。ちなみに私、この物語を複数回読んでしまいました。マヌエーレ・フィオール氏の絵もいいんですよねぇ。欧州のどこかという感じもありますし、何より、クリスマスっぽい。

 

 あとがきも是非読んでいただき、物語とは異なる余韻を楽しんでいただきたいです。

おススメです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

伊坂幸太郎(2017)『クリスマスを探偵と』.河出書房新社.


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