文部科学省の概算要求の新規項目の中に「地域活性化人材育成事業~SPARC~」があります。要望額は28億円。ちなみにSPARCはSupereminent Program for Activating Regional Collaborationの略で、直訳すると「地域協力を活性化するための卓越したプログラム」ですかね。
しかしですよ。実は既に私立大学等経常費補助金特別補助の項目の中に、
「Ⅰ.成長力強化に貢献する質の高い教育
1.地方に貢献する大学等への支援
(1)地方の職を支える人材育成」
がありまして、地方の職や雇用を支える人材育成の取組を組織的に行っている大学を補助対象とされています。
地域活性化人材育成事業(文部科学省HP・大学分科会(第163回)配付資料より)はこちら
私立大学等経常費補助金 配分基準別記8(特別補助)(日本私立学校振興・共済事業団HP)はこちら
では何が違うのか。表にしてみました。
地域活性化人材育成事業 タイプB:学部教育型 | 地方の職を支える人材育成 | |
実施主体 | 大学等連携推進法人等 | 中小規模大学 (収容定員8千名未満) |
カリキュラム | 大学間連携・分野融合(STEAM)のカリキュラムを構築 | 自前 |
その他1 | ・社会人等を対象に地域産業を高度化する体系的な履修証明プログラムの構築 ・基金を産業界、自治体が連携し創設 | ・地元産業界等との連携した実践的PBL ・地元産業界等との地域の課題解決に向けた連携事業 |
その他2 | ・地域課題の解決 ・ベンチャー創出 ・地域ビジネスの再構築 ・第二創業 ・起業家人材輩出 | ・既卒者・就職留年者への支援 ・遠方で行われる就職活動の支援 ・就業、企業に関する地域の学校等との連携 ・地元企業等でのインターンシップ実施率 ・地方企業等への就職率 |
どうでしょうか。細かく見ていくと全く違う事業に見えますね。かたや、事業を起こすレベルの人材の育成支援、かたや地元で地道に働いていく人材の育成支援。
どちらかということではなく、どちらも重要で、推進すべき項目なのですが、前者の大学間連携は実にハードルが高く、思い描いているところまで行くにはかなりのステップが必要となってきます。大学等連携推進法人自体が少ないですしね。
でも、というかだからこそ、補助事業で推進していきましょうということなのだと思います。地元産業界や自治体と連携を推進していこうと思っていた大学側、逆に地元の大学をテコに地域人材の育成を推進していこうと思っていた地元産業界や自治体側。戦略的にやろうと思っていたリーダーにとってはまたとない大義名分が出来ますから、この神輿に乗らない手は無いです。常日頃から、そこまで思い描いているリーダーがいるかどうか、そしてそれを支えるブレーンがいるかどうか。大学も組織ですので、組織論と適切な人員配置が確立されていることが分岐点となりそうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
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