今回のテーマは、私立大学の経営状況についてです。ちょうど、令和3年度監事研修会資料が公開されていますので、それを見てみることにしましょう。それにしても、隔世の感があります。こうまで何事もオープンになる時代が来るなんて。実はその昔、お供で監事研修会に参加したことがありましたが。それはそれは一日中座りっぱなしの研修会で全国の大学の監事が東京に召集されてました。こんな感じなら動画で見てもらう形式でも良いのになぁと当時は思っていましたが、こんなに早く実現するとは。恐るべし新型コロナウイルスです。

 「私学行政の現状と課題等について」(文部科学省HP)はこちら

この資料の中に私立大学の経営状況についてという資料があり、現状の経営状況が経年比較などで集計されています。

 そこには、「地方中小私大の収支状況は約4割が赤字傾向」と明記されています。そうなんです。同じ地方でも大規模大学(19大学)は約90%が黒字で、それに比して都市で中小規模の大学(203大学)は約70%が黒字、地方の中小規模の大学(335大学・一番多いです)は約60%が黒字という結果になっています。ということは、今までの記事でも書いてきました通り、学校法人という形態は、規模のメリットが働くように出来ていることがこの結果からも明らかで、中小規模の大学においては、正確には赤字の中小規模の大学においては、早晩、規模を大きくするか(自前では無理でしょうから、どこかと統合するか)、閉校するかの選択に迫られることでしょう。

幸い、学部譲渡など統合・閉校に関するスキームと法令は整っていますから、行政側の準備は万端と言えます。

後は意思決定者の将来を見据えた判断にかかっていると言えます。

でも難しいですよ。シビアな経営判断を求められる段階に入ってきていますから、過去の業績に惑わされず、シビアな現状把握と分析、そして決断。一般企業では経営者は常に決断を求められていますが、学校法人でそこまでシビアな決断を求められることはそう多くはないでしょうからね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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