今回の書籍は、塚本康浩氏の『ダチョウはアホだが役に立つ』です。

 実は塚本氏のドキュメンタリー番組(かの有名な『情熱大陸』です)を拝見したことがあり、人となりの面白さと携わっている研究内容の凄さのギャップにやられたことをずーっと覚えていまして、またどこかで出逢えないものかなぁと思っていたところ、この書籍をお見かけしたわけで、すぐさま手に取りました。気になったものを積極果敢に調べていくこと(インターネットがありますので、こちらの方が断然多いですが)もあれば、偶然の出逢いを敢えて待つということもあります。なぜなのかは自分でも不明ですが、時たま後者をしてみると、熟成期間のせいか、対象に対しての思い入れが後を引いているような感覚があります。

 情熱大陸(MBS)の塚本学長の回はこちら

 それはさておき。

 著者である塚本氏は京都府立大学の学長をされていて、私が拝見したドキュメンタリー番組だけでなく、メディアにも多く出演されている方です。ご専門は家禽のウイルス感染症で、当初、ニワトリの研究をされていたのですが、縁があって、ダチョウの研究をすることとなった次第で、そのエピソードがこの書籍となっています。

 それにしても、塚本学長の鳥類に対する愛情が半端ありません。ご自身の話をされているにも関わらず、研究の対象であるダチョウのお陰ですと必ず最後に付け加えている辺り、本当にリスペクトされているのだなぁと、ヒシヒシと感じます。研究対象がダチョウに行き着くまでの経緯もさることながら、塚本学長ご自身の姿勢というか、生き方というか、転んでもタダでは起きないというか、出自(祖父の出身地)が滋賀というのも書かれてあるからそういう印象を受けたのでしょうが、近江商人、もっと端的に言うと、商人(あきんど)という印象を受けました。映像で見るとおもろい研究者という印象でしたが、文字でまとめられていると当然ながら違う側面が出てくるわけで、映像との印象と書籍の印象が合い混じって、まさに商人という印象を抱いています。

 人の人生を紐解いていくと当然ながら平坦な一本道で生きてきた人の方が少ないと思います。起伏の差こそあれ、生きていると様々なことが起こります。ポジティブなこともネガティブなことも。この書籍には塚本学長のこれまでの歩みが描かれていますが、本当に一筋縄では来ていません。高等学校卒業して一回就職していたにも関わらず、獣医学部に入学していますからね、この方。獣医学部の難易度をご存知の方からすると「なんで?」という感じかもしれませんが、それが必然のように思えるわけです、書籍を読み終わると。不思議ですよねぇ。渦中では見えないことも後から振り返ると全てが繋がっていた。まさにスティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学卒業式でのスピーチのテーマの一つです。

 

 スティーブ・ジョブズ氏のスピーチの動画はこちら

 スティーブ・ジョブズ氏のスピーチの全文はこちら

 人生は選択の連続です。それも当然ながら自分自身で選ぶ選択の連続です。どの選択肢を選べば正解だなんて誰にも分からないように出来ているものです。その時にどの選択肢を選べば良いのか、この書籍はそれを明確ではないにせよ、暗に示していてくれます。

 おススメの書籍です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

塚本康浩(2021)『ダチョウはアホだが役に立つ』.冬幻舎.


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