今回のテーマは大学における履修証明プログラムについてです。

この制度、平成19年度に学校教育法が改正され、制度化されたものです。

大学等の履修証明制度についてはこちら

 全くもって個人的な解釈ですが、大学院に行くほどの時間的金銭的余裕のない社会人でも公開講座や単科の科目であれば参加できるようであれば、後押ししようという趣旨の下、勝手に受講するだけでなく、履修証明をしましょうという制度です。正確に言うと大学だけではないのですが。

別に証明が無くてスキルさえ付けば良しと考えている方もいらっしゃるでしょう。イヤイヤ、この証明という制度が大切でして、大学では昨今盛んに言われています「学修成果の可視化」の一貫でもあります。また、そうすることで後ほど制度化された厚生労働省の教育訓練給付制度と紐づいた「職業実践力育成プログラム」いわゆるBPの認定制度(平成27年度より)にも繋がっていくわけでして、今後は定年も更に延長されていくことを鑑みれば、より拡大することはあっても縮小することはないと予測されます。

では、どれくらいの大学がこの履修証明プログラムを開設しているかを見てきましょう。

制度化して終わりということではなく、そこは行政ですので、検証を行っており、毎年度調査結果が公表されています。今回は大学だけを追いましたので、短期大学や高等専門学校、専修学校も別途、調査結果が公表されているはずです。私が調べたのはお馴染みの文部科学省のHP内の「大学における教育内容等の改革状況について」(平成20年度~平成30年度)です。

大学における教育内容等の改革状況についてはこちら

調査名の通り、履修証明プログラムだけに依らず様々な角度から大学を検証していますのでこれはこれ自体で興味深い調査となっていますが、今回は、履修証明プログラムを経年で追ってみました。

まずは、開設している大学数から。

出典:「大学における教育内容等の改革状況について(平成20年度~平成30年度)」.文部科学省

次に受講者数

出典:「大学における教育内容等の改革状況について(平成20年度~平成30年度)」.文部科学省

最後に証明書発行数。

出典:「大学における教育内容等の改革状況について(平成20年度~平成30年度)」.文部科学省

2011年度は決して忘れているわけではなく、調査結果が何故か公表されていないのです。まぁ、それは置いておくとして、ご覧になられてどうでしょうか。順調に推移しているように見えますし、制度設立当初から比較すると4倍強に大学数は増加していますし、それに伴って受講者数も増加しています。

実は2019年度からは更に加速が予測されまして、総時間の要件が120時間以上だったのが60時間以上に変更されます。ですので、ここ数年の平均受講者数が5千人ですのでこれがどのように推移していくかは注目したいところです。そして、受講者数と証明書交付者数の差を見ると、約30%の人が何らかの事情により受講を延期か取り止めていることが伺い知れます。受講者数の増加も目標として掲げることは必要ですし、裾野を広げていくことは必ず必要です。その次は、プログラムの修了率を如何に上げていくかが問われていくと思われます。おそらく社会人が多いでしょうから様々な障害(勤務時間・業務量・転勤など)が予測されますので、安易に修了率を上げるための修了要件の基準を下げる必要はないと思います。まぁ、そのための総時間数の要件の変更だとは思いますので、その結果を見ていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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3件のコメント

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