本日の物語は、似鳥鶏氏の『名探偵誕生』です。

今回の物語を手の取った理由は、題名でした。名探偵が誕生? そう言えば、物語の名探偵は既に名探偵である時点からスタートしているわけですし、わざわざ名探偵になる前のことを描いていたとして何か面白いことが起きそうにないですよね。

 そう思いつつ、何をもって名探偵と定義づけるのか、にも興味を抱いたいので手に取った次第です。でも、表紙が美男過ぎで引きましたが、なるべく先入観を持たずにいこうと決心し読み始めました。

 結論で言うと、名探偵の定義とは、やはり視点であることが確認出来ました。というか、名がつく名人級のレベルの人達はやはり視点が違う。いや、違うというのも表現が違います。なんだかややこしくてすみません。その人たちも私たちも同じものを確実に見ています。視界に入っていると言った方が正確でしょうか。ですが、普通の人達が見落とすことを見逃していないのです。認識している範囲と深度が違う。知覚する能力が違うということです。

 主人公は初めからその能力を有していたわけではなく、隣の幼馴染のお姉さんから学んでいきます。そう、まさに学習していく過程を物語にしていくわけです。それも小学生から大学生の間という結構な期間をかけた学習の記録と言えます。最終的には主人公自身がその知覚する能力を獲得していくわけですが、乗り越えていかなければならないハードルが幾つもあり、それが誰しもが通るであろう思春期という時期を経ているのもこの物語の面白さに深みを与えています。

 今まさにその年代の方でも楽しめるでしょうし、私のように遠い過去であったとしても楽しめる作品となっています。

 作者の似鳥鶏氏はこのほかにもシリーズものを書かれているようですので、これきっかけで他の物語も読んでみたいと思います。

 とここまで書いていて何ですが、あとがきが一番印象深かったです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

似鳥鶏(2018)『名探偵誕生』.実業之日本社.


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