今回のテーマは、医学部の収容定員についてです。

 医学部の学部設置及び収容定員増は大学設置基準において抑制の対象(第一条第一項第二号を参照してみてください)となっています。と言いつつ、平成の終わりらへんに大学が新設された際に医学部が設置されていたなぁとか、ん? そう言えば医学部の定員増がなされたとかの記事を見たことがあるなぁとふと思い、7月21日に開催されました中央教育審議会大学分科会(第162回)の資料をつらつらとみていると「令和4年度医学部入学定員増について」という資料があるではありませんか。

令和4年度医学部入学定員増についてはこちら

この資料にはもちろん、これまでの経緯が記載されていて、医学部の入学定員は抑制されていたけれども様々な対策を経て、以下の3つの枠組みのもと9,330名まで増員したとあります。増員の対象となる基準は2007年度までの7,625人の入学定員のようです。

ここで言う3つの枠組みとは

  • 地域の医師確保の観点からの定員増(地域枠)
  • 研究医養成のための定員増(研究医枠)
  • 歯学部入学定員の削減を行う大学の特例による定員増(歯学部振替枠)

1の地域枠は皆さんも聞いたことがあると思いますが、地域間の医療格差解消のため、地域医療を担う医師のある人のための枠を設ける場合は定員増が認められるというものですね。

ちなみに文部科学省の資料から、抑制の年度から今年度までをグラフにしてみました。

医学部収容定員数の推移

でも、そもそも増と表現しているほどですから、未だ抑制の方針は実は変更していないのではないかと経緯をもう少し調べてみました。

そうすると、2010年度に文部科学省内に「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」か設置され、そのものズバリの医学部入学定員の在り方を様々な角度から検証されたようです。

これまでの医学教育課これまでの医学部入学定員増等の取組についてはこちら

で、別の資料にはなるのですが、昭和61年には既に当時の厚生省が「将来の医師需給に関する検討委員会」の最終意見において「平成37年には医師の10パーセントが過剰になるとの需給検討に基づいて、平成7年を目途に医師の新規参入を10パーセント程度削減するとの提言」がなされており、供給が需要を上回るという予測は現在までも変更なされていないはずです。しかしながら、3つの枠組みが出来たように地域間格差が激しいため、入学定員増を認めることとなったようです。

医学部の定員をめぐる動向はこちら

といった、諸々の経緯があり、今に至っている訳でして、平成の終わりに出来た二つの学部(東北医科薬科大学医学部(100人)、国際医療福祉大学医学部(140人))は特例中の特例として、平成22年度以降の増員の枠組みは来年度も続くということは大学設置基準は変更されることはなく、入学定員増はあくまで暫定措置ということから大学分科会でも審議の対象となっているということなんですね。いやぁ、奥深いです。

それにしても、歯学部からの振替枠というのも興味深い制度ですね。歯科医院はコンビニよりも多いというのは既知の事実ですが、この制度の中にも組み込まれているということですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

カテゴリー: 大学

2件のコメント

医学部定員に新たな優先枠が!? - 大学よもやま話 · 2021-08-25 23:14

[…] 医学部の定員の抑制の方針は実は変更されていない!? […]

定点観測:令和5年度からの私立大学医学部の収容定員の増加に係る学則変更認可申請一覧 - 大学よもやま話 · 2022-10-26 22:38

[…] 医学部の定員の抑制の方針は実は変更されていない!? 医学部定員に新たな優先枠が?! カテゴリー: 大学 タグ: 医学部収容定員増 […]

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