日大によるガバナンス問題や学生による薬物事件
福岡教育大学の教員の薬物事件

昨今、何かとメディアを賑わせている大学関連の不祥事。
ふと、これが大学でなかった場合、取り上げられ方は変わってくるのだろうか、とも思ってしまう。やはり、大学=公的機関というイメージも強いし、学校という側面もあることから、ことさらメディアでもトップニュース近くに取り上げられるのだろう。

今回の書籍では、訴訟にまで発展している大学が多く、世に出ているだけでこれだけあるのだから、細かなものまで拾い集めるともっとあるのだろう。

上場している一般企業でもこの程度の内部統制しか効いていないのかと驚くこともあるが、そもそも同僚制を出自に持つ大学という組織では内部統制と効かせるということ自体が激しく難しかったのだろうと思われる。

過去形にしたのは、これだけ個人が情報発信できるツールが充実している現代において、もはやそれが通用しなくなっていると日々痛感しているから。

昭和な人たちもリタイヤしていく世代交代の間でもあるため、各大学においては、改めて組織における内部統制を導入する必要に迫られているはずだし、今後の真っ当な成長を目指すのであれば、されけては通れない道とも言える。

それにしても、どの問題も丁寧な取材により、本質が如実に洗い出され、大学に所属する教職員は他人事ではなく、自分事として、謙虚な気持ちで受け止める必要性を感じた。

そもそも世に有意な人材を送り出すための機関としての位置づけを皆が意識しておけば、起こり得ないことなのだろうが、性善説では通用しないのも組織として想定しておくべきことなのだろう。

心して読む必要あり。


田中圭太郎(2023)『ルポ 大学崩壊』.ちくま新書


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