先日、三重県での県立大学の設立に関する報道がなされていました。

「県立大学 有識者会議「新設以外の模索を」報告書案まとまる」(2023.10.06 NHK・三重 NEWS WEB)はこちら

この報道に触れるまでは三重県で県立大学の設立構想があったことを知りませんでしたが、令和3年度から「専門的な見地から意見」聴取を目的とした「県立大学の設置の是非を検討するための有識者会議」が開催され、同時に様々な調査も実施、令和5年度には「県立大学設置の検討に係る有識者会議」が設置され、この度の報告書の作成に至ったようです。

有識者会議のメンバーの中に両角亜希子東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コース 教授の他に地元企業や他大学の専門家も含まれています。

報告書案も近く公表されることと思いますが、報道にもありますとおり「新設以外の選択肢を模索したほうがよい」との結論ですので、新設ではない別の方策を練ることと思われます。県内には既に大学が7校、短期大学が4校ありますので、人口減少が一段と加速していくことが予測されている現状において、自治体の財政状況と将来予測を勘案すれば、当然と言えば、当然の結論だったのではないかと。

公立大学化と言えば、直近で言うと、旭川市立大学が思い浮かびますが、地方の収容定員未充足の私立大学にとっては、最後の切り札のような印象を受けます。

「4月開学・旭川市立大 札幌や本州などから学生集う 公立化で学費下がり難易度上昇か<デジタル発>」(2023.04.21 北海道新聞・会員限定記事)はこちら

当然ながら学費は安くなるのですが、自治体等の税負担が増加することは明白ですので、三重県のように慎重な議論が求められます。

ちなみに総務省では毎年度、以下の地方自治体の財政の健全化判断の概要を公表しています。これもちなみにですが、全国で唯一の財政再生団体である夕張市は令和11年度まで続くようです。

「令和4年度決算に基づく健全化判断・資金不足比率の概要(速報)」(2023.09.29 総務省)はこちら

このあたりの予測値(将来負担比率)も加味しながら、公立大学化も検討されているのでしょうね。それにしても地方自治体の財政は複雑な構造という印象です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

(参考記事)

カテゴリー: 大学

1件のコメント

令和5年10月末申請の大学等の設置認可の諮問について - 大学よもやま話 · 2023-11-21 11:38

[…] 三重県での県立大学設立検討の報告書案が報道されています 令和6年度開設予定の大学の学部等の設置届出について(令和5年7月分) カテゴリー: 大学 タグ: 設置認可 […]

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です