今回のテーマは、コミュニティ・スクールについてです。コミュニティ・スクールの出自はアメリカ合衆国でして、地域の教育資源の活用を目的に地域住民や保護者が積極的に学校運営に関わっていく形態の学校を指します。日本で言うところの小中高校ですね。もう少し発展して、2年制のコミュニティ・カレッジまで及んでいますので、日本よりも幅広く教育機会が提供されていると言えます。コミュニティ・カレッジについては別の機会で。

 日本の場合のコミュニティ・スクールは学校運営協議会制度とも表現されています。

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)についてはこちら

中央教育審議会(2017)「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について(答申)」はこちら

 この制度、当然と言えば当然ですが、法令の根拠に基づいた制度でして、2017年4月に施行されている「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が根拠法令となっています。

この学校運営協議会の役割として

  • 校長が作成する学校運営の基本方針を承認する
  • 学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べることができる
  • 教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる

の3つがあります。

 そして、導入状況としては、令和2年7月1日現在で27.2%の9,788校がこの制度を導入しています。3割ですか。これを多いと見るか、まだまだと見るかは評価が分かれるところだと思いますが、私は法制化されてからの導入状況は十分評価に値すると個人的には思っています。高等学校に至っては10倍ですよ。(66校→671校)

 この動向が何を意味するのか。勿論、政策として推進されていますので公立学校がこのような動きになるのは当然と言えば、当然。ですが、資料をよーく見ると法制化される10年前から既に導入されている学校が存在しているのです。つまり、法制化は後付けで、やはり国外の状況と同様に地域及び保護者もステークホルダーとして捉え、教育プログラムに意見を反映させた方がより質が向上していくという共通認識があったのではないかと推測できます。本来的に人材育成にはそのような観点が含まれていますし。そうなるとより身近な地域社会の方々や保護者というのは貴重な教育資源であり、活用しない手はないです。そこから派生して、高等教育課程はどうか。既に地域社会の教育資源に早くから目をつけ、教育プログラムに活かしている大学が全国にはいくつも存在しています。

 有名どころでは、松本大学共愛学園前橋国際大学など。

 どちらも地方の小規模大学ですが、理論と実践を教育の両輪と捉え、教育プログラムを構築しています。その大学がその地に立地する意味を深く捉え、どのようなプログラムを構築していくのか、その解のひとつがコミュニティ・スクールにあるように思えてなりません。人材を育成するというプロセスにおいては初等中等教育課程も高等教育課程も同様です。

 ますますそのような学校が増え、大学が増えることで本当の意味での地方創生が実現していくと思われます。結局は人の営みの集積ですから。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

 今後ともよろしくお願いいたします。


1件のコメント

コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議の中間まとめが公開されています - 大学よもやま話 · 2021-09-10 23:06

[…] 国内の1/3の公立学校がコミュニティ・スクールって知ってました? […]

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