埋蔵金。
この言葉に響きに酔わない男子がいるのだろうか。
この物語では、決して、使い古された言葉ではなく、重要な位置を占めている。

主人公の大学生・晶良は、幼なじみと幼い頃に武田の埋蔵金を追い求め、今も追いかけているが、疎遠になったその幼なじみが突然現れて、燻っていた埋蔵金がにわかに表舞台に現れてくる。

当然、疎遠になった幼なじみが出現したのにはワケがあり、その不穏なワケも絡みつつ、山梨の奥深い山々へと登場人物は誘われていく。そして、人々の欲望が山々に呑み込まれていく様は没入感たっぷり。

つくづく、自然を相手にするということは如何に経験がモノを言うのかを思い知らされつつ、やはり最後は体力なのだとも思い知る。歩かないとなぁ。

個人的には晶良の大学の同級生であるトレッキング同好会の吉井のキャラクターが好み。彼で一本物語が出来そうなくらいフットワークが軽く魅力的。
そんな人物を惹きつける晶良もまた魅力的なんだろうな。

兎も角、オススメ。

大崎梢(2016)『誰にも探せない』.幻冬舎.



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