葉落帰根(らくようきこん)

葉は落ちて根もとに帰る。何事も結局はもとに帰る。落ち着くところへ落ち着く。


落地生根(らくちせいこん)

故郷から遠く離れた地を本拠地として生きていくこと。



出版社の書籍紹介にもあるようにパラレルワールドの物語。ただし、結末はひとつ。

パラレルに導入する前と後ではあることが決定的に違い、最後の場面では元に戻る。その違いに気付いた時はゾワッとした。

誰しもが今この瞬間に至るまでには数多の選択を積み重ねてきている。たとえ、人に選択を委ねているようでもその人を選んだ時点で自身が選択しているのである。

そう考えると、現状がどのような状況にあるにせよ、自分の選択の結果であり、そのことを受け入れる必要がある。人のせいにはできない。

この物語の主人公にが選択した道は、タイトルの通り、盗賊団のボスとパン屋。
そのどちらにもある人物が関わっているのだが、結末は同じ。

主人公にとって、同じ結末に至るにせよどちらの選択の方が良かったのか。

この物語でも他者との関係性の問題となってくる。所詮、一人では生きていけないと言ってしまえばそれまでだが、その関係性は薄くても濃すぎてもやっかいなもの。

まぁ、こんなもんだろうと割り切って生きていければ一番よいのだが、なかなかどうして。

一生、迷いながら生きていくものなのだろう。ただ、他者には最後には優しくありたい。


視点は面白いので、また読んでみたい作家のひとりとなった。



上田未来(2023)『ボス/ベイカー』.双葉社.


0件のコメント

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です