今回のテーマは大学における初年次教育です。初年次があるということは2年次、3年次もあるかというとそういうわけでもありません。まずは例によって、言葉の定義から。文部科学省が公表している定義は、「高等学校から大学への円滑な移行を図り、大学での学問的・社会的な諸条件を成功させるべく、主として大学新入生を対象に作られた総合的教育プログラム。高等学校までに習得しておくべき基礎学力の補完を目的とする補習教育とは異なり、新入生に最初に提供されることが強く意識されたもの。」とされています。まずは、補習教育=リメディアル教育ではありませんよということを押さえておく必要があります。いまやどの大学でも設定されている「基礎化学」「基礎物理」などの高大接続の科目とは異なるということです。大学での学びがスムーズに進められるように体系化されたプログラムを指します。定義にもあります「総合的教育プログラム」とは単発の科目群を指しているのではなく、統合化されたプログラムを指しています。では、具体的にどのような内容なのか。毎年度、文部科学省が公表している「大学における教育内容等の改革状況について」に依りますと、「レポート・論文の書き方等の文章作法」「プレゼンテーション等の口頭発表の技法」「学問や大学教育全般に対する動機付け」「論理的思考や問題発見・解決能力向上」などが調査項目として挙げられています。各大学に整備されつつあるライティングセンターはその発展形と言えますが、まずは文章を書くことから始まり、自分の考えを相手に伝えるプレゼンテーションの技術、高等学校までの学びとは異なり自由度の高い大学での学びに対する動機付け、そして巷でよく耳にする論理的思考などなど。一部には既に初等中等教育課程で育成されつつある内容も含まれますが、これらが代表的な初年次教育の内容となります。ある大学は、適当な教科書が無いということで、自前で教科書を制作していたりします。それくらいどの大学も力を入れているということです。逆に初年次教育が弱い、もしくは無いという大学は要注意です。専門教育に比重が偏っているか、高等教育の動向を上手く捉えていない大学である可能性があります。最近はどの大学もカリキュラム表やシラバスが公開されていますので、是非とも調べておきたいところです。

 今日は基礎知識の共有ということで。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

カテゴリー: 大学

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