今回のテーマは、学校教育におけるチャットGPTの波紋についてです。

先日の日本経済新聞による米国では、チャットGPTの出現が学校教育に波紋を投げかけているようです。

「チャットGPT、米学校に波紋「思考力奪う」「デジタル教育の一環」」(2023.03.07 日本経済新聞・有料会員記事)はこちら

この記事によると、既に米国・ニューヨーク市ではチャットGPTへのアクセスを禁止しています。

他の国でも同様の動きがないかと調べてみますと、オーストラリアでは5つの州で使用禁止を決めています。一方、国内では対応策については未だ検討段階にあり、ここでも一番乗りをしている近畿大学の大学院では検証ツールを導入しているとのこと。

「検索する時代は終わり? 「チャットGPT」利用急拡大 宿題や悩み相談に“まるで人間のように”AIが答えてくれる! 「性能高すぎ」海外では禁止する学校も」(2023.02.15 ABCニュース)はこちら


新しい技術が出現すると良悪両面のうち、マイナス面が報道に出やすいですが、日本経済新聞の記事にもあるとおり、プラスに捉えて利用していく人も出現します。上記の記事ではマイナス面である「思考力を奪う」がクローズアップされていますが、それではプラス面の活用にはどのようなものがあるのか。

ひとつは作成した文章の添削には有効であると思われます。これは今のところ英語版使用の前提となりますが、英語を母国語としない人にとって添削を瞬時にしてもらえるのはかなり有難いはず。いきなり文章の作成をツールにやらせるのではなく、自分で作成したものの検証として活用する。これならば、思考力は自身の能力で身に付きますし、ツールによる添削によって文法等の能力も向上が期待できます。

他にも身近な事例で言うとチャットボットですね。Q&Aの形式は得意分野のようですので、予め想定される質問についても自動的に回答がなされる。学校での活用事例と言うと、個別学習には有効かと。例えば、答えを見ただけでは理解が及ばない場合も質問をすることでより詳細な解説や図解が提示されれば、ぐっと理解が深まる可能性は高いです。

あとは既に芝浦工業大学で活用されていますが、窓口対応はこのツールの活用によりぐっと減ることでしょう。ほぼチャットボットで済みそうですし。

他にもないものかと探してみると、いろいろとあるようです。

「チャットGPTは、アメリカ社会をどう変えるか?」(2023.03.01 Newsweek)はこちら

学校教育における使用を禁止するのも活用するのも両面性があると思いますが、まずは先生方が使ってみるのもありだと個人的には思っています。思わぬ使い方が出てくるのもやはり現場の方たちが使ってなんぼの世界ですから。この手のツールは忌避しても浸透していくのは目に見えてますから、であれば、自分たちで使ってみる。使った上でのリスクを認識・共有した上で、その活用法を模索していく。そのことが大切かと。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。



(参考記事)


2件のコメント

30秒感想:海洋研究開発機構のアーカイブスについて - 大学よもやま話 · 2023-03-17 22:35

[…] 30秒感想:学校教育におけるチャットGPTの波紋について […]

30秒感想:甲南女子大学で「ChatGPT」を授業に活用 - 大学よもやま話 · 2023-04-13 22:35

[…] 上記のプレスリリースでポイントの一つとして挙がっていますが、授業で「ChatGPT」をどのように扱うのか。これ、以前の記事でも取り上げましたが、大学教育だけでなく、小中校と様々な議論を呼んでいます。甲南女子大学の場合、文学部メディア表現学科での授業ということですので、学びの分野と合致していることが導入の大きな要因のひとつだと言えます。新しい技術が出現してくると取り敢えず禁止の方向に行きがちですが、取り敢えずを進める方向に持ってくることは実は勇気のいることだったりします。例え、甲南女子大学のように教育内容に親和性があったとしても、話題となり議論の的となりがちです。そこを敢えて進めていくところに好感を持ってしまうのは私だけではないはず。大学は教育機関でもありながら、研究機関の側面も持っていますから、実験の機能は絶えず持っていたいものです。かっこよく言うと社会の“ラボ”ではないかと。 […]

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