今回のテーマは、政府のスタートアップ育成計画についてです。

「起業家教育推進大使について」(2023.01.23 文部科学省)はこちら

文部科学省のプレスリリースによると先月23日、「起業家教育推進大使」の任命が行われ、小中高生への広報活動や講演への依頼がなされたそうです。

しかもその面子が絶妙のチョイスでして、有名どころのDNAの南場会長やユーグレナの出雲社長以外に、例えば、

・関山和秀Spiber株式会社取締役兼代表執行役

・米良はるかREADYFOR株式会社代表取締役CEO

などの面々を任命しているわけです。小中高生よりもむしろ社会人が講演を拝聴したい面子が揃っています。ここら辺に政府の本気度が伺えますが、皆さんはどんな印象を持たれますでしょうか。

小中高生への起業家教育って具体的に何を実施する予定なのか。講演くらいだともったいないなと思い、調べてみると既に補正予算で10億円つけられていまして、以下のプロジェクトが発足済みでした。

「小中高生等へのアントレプレナーシップ教育の拡大方策: EDGE-PRIME Initiativ」(文部科学省)はこちら

ポイントとしては以下の3つ。

1.拠点都市を中心とした面展開

2.各地での先端的な取組の展開

3.各学校へのアントレ教育支援

1は既に「研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム START」が科学技術振興機構主導で立ち上がっており、プロジェクト推進型と大学・エコシステム推進型が始動しています。大学発の事業ですので、大学の事業を通じて小中高生へすそ野を広げていくということでしょう。

グローバル拠点都市と推進拠点都市が指定されており、具体的な都市としては、以下の通り。

グローバル拠点都市

スタートアップ・エコシステム 東京コンソーシアム(東京都、渋谷区、川崎市、横浜市、茨城県、つくば市、千葉市等)

Central Japan Startup Ecosystem Consortium(愛知県、名古屋市、浜松市等)

大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム(大阪府、大阪市、京都府、京都市、兵庫県、神戸市等)

福岡スタートアップ・コンソーシアム(福岡市等)

推進拠点都市

札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会 (札幌市等)

仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会 (仙台市等)

広島地域イノベーション戦略推進会議 (広島県等)

北九州市SDGsスタートアップエコシステムコンソーシアム (北九州市等)

2も科学技術振興機構主導の事業で以下の二つが起点となっています。

グローバスサイエンスキャンパス(GSC)(2014年~)

ジュニアドクター育成塾(2017年~)

3は中小企業庁が主導する事業で、起業家教育事業として出前授業から実際の創業までをサポートしているようです。

いずれも既に立ち上がっていた事業ですが、スタートアップ教育と関連付けると意識付けが変わるような気がします。自分で起業するという発想自体がおそらく日本の今までの教育を受けていると醸成されることはないでしょうから、自分の発想がもしかすると事業になり得るかもという視点は動機の観点からも有効だと思われます。そして願わくば、エコシステムが構築されていき、アメリカのシリコンバレーを凌ぐような都市が国内の各地に出てきていただきたい。当然ですが、そうなるとその拠点(インキュベーションの機能)としての大学の果たす役割はますます重要となってくるでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

(参考記事)


2件のコメント

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