仏教の教えには「因果の道理」というものがあります。結果には原因があり、それはいつでもどこでも変わらないということを表しています。そして、その原因、私たちの幸福・不幸を生み出す原因を仏教では以下のように表しています。
・善因善果
・悪因悪果
・自因自果
漢字とは便利なツールでおそらく上記の文字を見れば一目瞭然ですよね。そうなんです、全ては自分たちの行いであるということです。仏教ではその行いのことを「業(ごう)」もしくは「カルマ」と表現しています。だからこそ、日々の行いが大切であり、その結果として、幸福・不幸の結果を生み出しているということです。うーーん、とても分かりやすい教えですね。
さて、今回の物語、下記の講談社HPであらすじに記載されていますように、一年前に何者かによって殺害された涌井和沙という女性が全くの別人に憑依してしまうことから物語はスタートします。その人物は誰なのか、それを追う物語となっています。
普段、何気なく過ごしている日常に様々なリスクがあり、幸福のタネがあり、結局はそれを意識しているかどうかによって結果も変わり得るということなんでしょうが、突然、命を奪われた主人公には周りの全てがリセットした形になってしまいます。全くの他人の身体ですから。でも、だからこそ見えてくるものがあり、最後まで辿りつくまで主人公は諦めないんですよね。そこがスゴイところです。私なら心が折れてしまいそうな場面がいくつもあります。
これまで読んできて、著者の横関大氏は女性の登場人物の心理描写がとても巧だという印象があります。とても名前からすると男性の印象ですが、もしかすると女性の作家なのではないかと思ってしまうくらいです。
まだ、何冊も出版されていますので、他の著作を読むのが楽しみです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
横関大(2022)『仮面の君に告ぐ』.講談社.
(参考記事)
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30秒間読書感想文:横関大氏『スマイルメイカー』 - 大学よもやま話 · 2022-12-19 22:44
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