いきなりですが、仏教では、「一切皆苦」という言葉があり、シンプルに言うと、世の中思い通りにいかないことばかりという意味です。この「苦」には四苦八苦と呼ばれる「苦」があるとされていて、その八苦の中に「愛別離苦」という「苦」があります。見た漢字のままですが、愛する人ともいつかは別れがあるという苦しみですね。これ苦しいですよね。死別という別れもあれば、好きだけでも別れなければならないという別れもあります。

今回の物語『ルパンの娘』。テレビドラマ化されていますので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。私、ドラマ好きで結構、見ている方だと思うのですが、なぜかあれほど話題となったこのドラマは見てませんでした。それも、この物語を本で読むという運命があったのかもしれません。

さて、主人公である三雲華とその恋人・桜庭和馬はお互いの家庭環境のせいで冒頭の「愛別離苦」という「苦」を十二分に味わいます。ここまで極端な設定でなくとも世の中には結婚という家と家との繋がりを指す仕組みの中では如何ともし難い状況に陥り、泣く泣く諦めたという話しがいつの時代も聞こえてくるものです。

前回、読んだ『忍者に結婚は難しい』でもそう。主人公は苦悩します。如何ともし難い状況にいきなり追い込まれてしまいます。何せ、今回は泥棒と警察官ですからね。「そりゃ無理だわ」、が出発点ですから。でもその「そりゃ無理だわ」、からスタートする物語っていうのもアリなんですよねぇ。対比となる周りの人たちのどこかのんびりとした雰囲気もまたいいんですし。今回も間違いなく没入しました、私。一気に読んでしまいましたから。三雲華は果たしてそのムチャな壁を乗り越えることが出来たのか、恋人の桜庭和馬は華の正体に気づくのか、そして、二人はどのような選択をするのか。

自分だったらここはこう選択するという感じで読んでいただくとより没入できますよ、きっと。

ともかく、おススメです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

横関大(2017)『ルパンの娘』.講談社.

(参考記事)

https://takayamaclub.matrix.jp/columns/reading-impressions-yokozekidai/

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