文庫版の帯に「セキュリティのプロを唸らせた本物の迫力」と。
それもそうでしょう。数字的な裏付けもそうですが、私は素人なので専門用語を見ても分かりませんが、技術的な側面も丁寧に言及もちゃんとされています。分からないのですが、プロットに沿って読んでいくと、ピンと来て腑に落ちるという不思議な感覚に見舞われます。おそらくどの作品にも言えることですが、入念な取材に基づいた構成だからなんでしょうね。
実は、この物語の続編を先に読むという失態をまたもや起こしていて、今回に至るわけですが、全く、問題ありませんでした。むしろ別の物語と言っても良いくらいです。
主人公・明神海斗は根っからのハッカーですが、同僚の出原しのぶ同様、自衛隊指揮通信システム隊・サイバー防衛隊(通称・サイバー・コマンドー)に所属しており、国防のみならず国内のあらゆるセキュリティ対策(といって、本来的な役割でないことも各種要請によって請け負っているようです)を行っていますが、ある時、国内工場の稼働率低下に不自然さを見つけ、明神海斗がその要因を突き止めようとするところから物語が展開していきます。
あれよあれよと言う間に巻き込まれていく姿は、プロであればこその展開で、『東京ホロウアウト』にも通じるところがあります。逃げない姿勢も。誰だって追い詰めると「うっ」となる時があるはずで、それでも踏ん張れるのは、自分の出自であったり、核であったりのどうしてもここは譲れない部分があればこそ。あとは周囲の支えですかね。
ずっと、出原しのぶが怪しい動きをするので、物語ではミステリアスに扱われていますが、それも続編への布石と捉えると深みが出てきます。続編から読みと言う禁じ手はおススメしませんが。
セキュリティ対策といっても大仰なことだけでなく、不審なメールは開かない、OSのアップデートはこまめに、データのバックアップは必ず実行、などの基本対策も怠らずにしないと痛い目を見るということもよーく分かりました。あとは周囲との連携ですかね。
あらためて、今回の物語を読んで。
いやぁ、福田氏の物語、好きです。延々に読んでいたいです。
ということで、今回も
おススメです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
福田和代(2013)『サイバー・コマンドー』.祥伝社.
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